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STEM教育導入で英語×ものづくりのハイブリッド学習。国際高専1期生の活躍に迫る!

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英語による工学教育や金沢工業大学(KIT)との連携などが特色の私立・国際高専の第1期生として入学し、KITへ編入学された青木心路さん。マルチコプタの制御分野で優れた研究成果を発揮している青木さんに、高専生活や現在の研究内容などを伺いました。

技術力と英語力の両方を磨ける環境

―国際高専に入学したきっかけを教えてください。

祖母のルーツがマレーシアだったこともあり、中学時代は約2年間、マレーシアに留学していました。海外の高校に進学するか、日本のインターナショナルスクールに進学するか迷っていたところ、新しく国際高専ができることを父から聞いたのでした。

▲中学生の頃の青木さん

父は国際高専の先生と知り合いで、英語を中心としたSTEM教育を採用した環境や、英語でものづくりを学べるカリキュラムがあることを知りました。エンジニアだった父の影響もあり、私もものづくりに興味を持っていましたね。特にSFや乗り物が大好きで、そんなものづくりと英語の両方が学べるのが決め手で進学を決めました。

―入学していかがでしたか。

国際高専では、教員の6割が外国人で構成されていて、コンピュータを含む科学、技術、数学を英語で総合的に学びます。また、1学年45名の少人数教育も大きな特徴です。1,2年生のうちは全寮制で、自然豊かな白山麓キャンパスで過ごします。私たちが第1期生で、同級生は12人。みんなとはかなり仲良くなり、今でも交流が続いています。

▲高専で友人たちとバスケットボールを楽しむ様子

100分授業で、夕方5時には授業が終わります。その後、夜7時から9時までは「ラーニングセッション」といって、みんなで宿題を進める時間が設けられています。当時はみんなで「しんどい」とか文句を言っていたのですが、今振り返ると良い思い出というか、あの時間がないと課題を終えられなかったと思います。

授業をサポートしてくださるメンターの方も、いっしょに寮に住んでいます。わからないことがあればメンターや同級生たちにすぐに聞ける環境はありがたかったですね。あと、白山麓キャンパスのいいところは、敷地内の温泉に入り放題なんですよ。温泉施設の管理スタッフさんや保健室の先生など、職員さんとの距離が近いのも国際高専ならではの特徴ではないでしょうか。

授業では、1年生のうちからさまざまな科目に触れ、ものづくりにつながる知識や技術も英語で学べます。特に印象に残っているのは、地域の課題をエンジニアリングの視点から解決する「エンジニアリング・デザイン」の授業です。私が選んだのは歴史分野のテーマで、あまり知られていない地元の史跡や寺社仏閣などのスポットを観光につなげるのが課題でした。

現地の方にヒアリングをするなどして、ARを活用して課題解決を試みたのですが、課題の設定がまず難しかったですね。社会実装の難しさや課題解決の重要性を肌身で感じた授業でした。

目指すはドローンの社会実装

―研究内容について教えてください。

当時、唯一航空系の専門だった伊藤恒平先生の研究室に入りました。私を含めて学生2名に先生1名。ほぼマンツーマンの恵まれた環境でした。伊藤先生は「ゼロからつくる」をモットーにされています。実験でも既存品はなるべく使わず、自作して基礎力を高めていくことができました。

私はソフトウェア担当で、マルチコプタの自動高度制御について研究をすすめました。例えば、ドローンの高さを計測するセンサーとコンピュータの通信を制御するプログラムも、テンプレートは使わず自作が基本です。おかげで実践的なプログラミングの力を磨けたと思います。

研究を始めたきかっけは、マルチコプタの社会実装をさらに進めるためには耐故障制御の実装が必須であり、現状の耐故障制御手法ではまだまだ社会実装できないなと感じたためです。ドローンが安全に飛び続ける技術が確立できれば、ほかのドローンにも転用できるなど、汎用性と安全性の面で貢献することができ、社会実装につなげることができます。

その後、私が卒業するタイミングで、恩師の伊藤先生が金沢工業大学に異動になり、私は伊藤先生を追って編入学を決めました。さらに、自分の決めた研究テーマをさらに深めたいと思い、大学院にも進学。大学ではマルチコプタの耐故障制御(シミュレーション)、大学院ではその実機の研究を進め、運転の完全自動化に向けた研究を実施しました。

―ドローンのコンテストでは好成績を収められています。詳しくお聞かせください。

高専時代から4年連続で、日本航空宇宙学会主催の全日本学生室内飛行ロボットコンテストに出場しています。マルチコプタ(ドローン)部門では2022年、つまり高専4年次の時に3位に入賞。ただ、その時はドライバーの腕前が良かったので、操縦者の技量に関わらず安全性や正確性が保てる自動制御を追究しなければ、という思いも強くしました。

それから研究を続け、ついに昨年優勝。悲願を達成することができました。高専時代は少人数でしたが、現在は研究室に所属する総勢20名ほどで取り組んでいます。チームワークの難しさや楽しさが味わえるのも、コンテスト出場の醍醐味ですね。

▲室内飛行ロボットコンテストで優勝したときの1枚

国内発の技術革新を志して

―就職活動について教えてください。

現在は航空・宇宙関係の業界やドローン開発のベンチャー企業などを視野に入れて、インターンや就職活動を進めています。研究は大学院がある金沢で、インターンや就職活動は実家がある東京で。月に半分ずつの2拠点生活を送っています。

航空分野と言えば、宇宙開発に携われるロマンのある仕事です。一方、社会実装に強いベンチャー企業であれば、生活に近い部分で多くの人を支えたり救ったりすることにつながります。そのいずれも魅力的で、正直に言うとどちらの道に進むか迷っています。

世界的に見れば、ドローンの研究技術はアメリカや中国、ヨーロッパが強いのですが、海外ではなく、「日本発」を目指したい気持ちもあります。国内にも優秀な開発者が集まっているので、工場内や火災現場、災害時などの厳しい環境でも飛び続けられる安全性の高いドローンを開発して、社会実装まで実現したいと思います。

―高専生へのメッセージをお願いいたします。

国際高専は、英語でものづくり教育が受けられる国内ほぼ唯一の環境と言っても過言ではありません。英語と専門知識のハイブリッド教育は、他の高専にもない魅力だと思います。また、国際高専では4年次に専門分野を選択します。1年次から3年次までで幅広い分野に触れた後で専門を選択するので、自分の特性や進みたい方向など、多角的な視点で進路を選べる点も良かったと感じています。

また、海外出身の先生が多いので、国内にいながらにして海外のカルチャーに触れられる点もユニークです。日本では味わえないこと、そこでしか経験できないことがたくさんある環境でした。同級生や後輩たちも、本当にさまざまな道に進んでいます。

進学するなら、基本的な工学知識が幅広く身に付いている高専生は、研究に必要な知識や技術のキャッチアップが早いはず。より効率的に深いアプローチができ、研究成果を出しやすいと感じています。在学時は手を動かす機会が多いので、技術や経験が「使えるスキル」となり、就活や研究で必ず力を発揮できるはずです。

―最後に、コンテストでも素晴らしい成績を残された青木さん。余暇はどのように過ごされていますか。

趣味がいろいろあるんですよ。インドアだとゲーム、アニメ、映画、読書。プラモデルづくりや麻雀も好きです。アウトドアだと旅行にキャンプ、登山、温泉。歴史好きなので、寺社仏閣や博物館・美術館めぐりもよくしています。

▲霊峰・白山へ登山。白山は、富士山・立山と並ぶ日本三名山の一つです

青木 心路
Kokoro Aoki

  • 金沢工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程 1年

青木 心路氏の写真

2023年3月 国際高等専門学校 国際理工学科 卒業
2025年3月 金沢工業大学 工学部 ロボティクス学科 卒業
2025年4月 金沢工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程 入学

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