2026年7月5日(日)、東京・金沢工業大学虎ノ門キャンパスにて、私立高専4校(神山まるごと高等専門学校、近畿大学工業高等専門学校、国際高等専門学校、サレジオ工業高等専門学校)が一堂に会した「第5回私立高専合同進学説明会」が開催されました。今年はこれまでの「高専とは何か」を知る場から、「自分に合った高専を選ぶ場」へと説明会が変化しつつある様子が見て取れました。
<前回(第4回)の記事はこちら>
昨年以上の盛況! 高専への関心の高まりを感じる説明会に
今年で5回目を迎える私立高専合同進学説明会。会場には昨年以上の人数である60名近くの中学生と保護者が集まり、学校説明や個別相談に熱心に耳を傾ける姿が見られました。さらに、遠方や海外から60組がオンラインで説明会に参加。賑わう空気感の中、4校による学校説明が始まりました。
学校説明では、特色豊かな4校がそれぞれの特徴や、学びにおけるポリシーなどを発表しました。神山まるごと高専では、「モノをつくる力で、コトを起こす人」をテーマに実生活での課題解決に重きを置き、近大高専では「夢を実現する学校」と題して学びのカリキュラムの柔軟性をアピールするなど、各校が持つ魅力についてお話しされていました。
学校説明の終了後、ブースに分かれての個別相談会が開始。どの高専のブースにも順番待ちが発生するほどの大盛況で、各校担当者と熱心なやり取りを交わす参加者で会場は賑わいました。

サレジオ高専の職員の方に、参加者の方たちの印象や学校の特色を伺いました。
―今年の参加者の方たちとお話をして、どのような印象を受けましたか。
中学生のお子さんたちは、「自分のやりたいことに学びが繋がっていること」に関心を抱いており、今すでにプログラミングやロボットの勉強をしているお子さんが増えてきている実感があります。
保護者の皆様は、お子様のそういった活動を肯定的に応援しつつ、「卒業後の出口(進路)はどういった実績があるのか」といった点に関心が強いです。小学5年生でプログラミングを学んでいるお子様と相談に来られた方もいらっしゃって、「今やっていることの延長線上にはどんな進路があるのか」という視点で参加されていました。
―サレジオ高専ならではの魅力を挙げるとしたら、ズバリ何でしょうか。
「日本で唯一のミッション系の高専」であり、学生と教職員の距離が近く、面倒見が良いことをPRしています。高専の特徴である「専門性の高さ」に対して「厳しそう」と不安感を抱く方もいらっしゃいますが、その点は安心してほしいです。
学びの面では「デジタル人材」を育てることに力を入れており、世の中で必要とされる技術を学べる環境づくりに力を入れています。その点ではVISMO(サレジオ高専オリジナルの自動運転EV)が入口として伝わりやすい事例になっています。
合同説明会だからこそ、新たな発見や出会いも
ちょうど会場に着いたばかりの保護者の方(神奈川県から参加)にお話を伺いました。
知り合いからの国際高専をお勧めされ、夏のオープンキャンパスに参加する前に一度話を聞いてみようと思い、この説明会に参加しました。子供は小さい時からものづくりが好きで、かつ小学校からほぼ英語で授業を受ける環境で学んでいます。国際高専では手を動かして学べる環境であることを知り、自分の子供と環境が合っているんじゃないかなと思っています。
また、中学3年生の息子さんと参加されていた保護者の方にもお話を伺いました。
2年前に神山まるごと高専を知り、子供の選択肢として「高専」を考えていました。今回は他の私立高専も参加されると聞いて、学校をそれぞれ知った上で考えを整理できるかなと思い、参加しました。神山まるごと高専は全寮制という環境が良いなと思ったのと、社会に出た時に必要な考え方をちゃんと備えてくれる印象を受けました。
一方で、近大高専は部活にもしっかり打ち込めると聞けて、すごく面白かったです。近大高専はいろいろな進路実績もあり、子供の将来のヒントになると思いました。
中学3年生の息子さんにも今のお気持ちを伺いました。
神山まるごと高専では、身に付けられることが思っていたよりも多い点に気が付けて、将来の道が広がっていきそうだと思いました。
また、今日の話を聞いて、近大高専も良いなと思いました。高専の中でも特に部活に力を入れていることや、自分の選択コースを最初の2年間をかけて慣れながら決めていける環境が魅力でした。寮の環境や生活面も良いと思いました。
先ほどの神奈川県から参加した保護者の方に、説明会を終えての感想を改めて伺いました。
最初は漠然と「高専ってどんな感じなのかな」と思いながら話を聞いていましたが、いろいろな選択肢がカリキュラムとしてあることが知れて良かったです。入試の方法がさまざまである点も驚きでしたし、将来の選択肢が用意されているのも魅力でした。専攻科というものがあることも、初めて知ることができました。まだ子供は小学6年生ですが、このタイミングで説明会に参加して良かったと思います。
「好き」だけではなく、「やってみる」が高専への第一歩
当日参加者からの注目度が高かった、神山まるごと高専の蔵本さんに、今回の説明会で感じた参加者の変化について伺いました。

―今年の参加者には、どのような印象を持たれましたか。
事前に本校のことを調べた上で参加されている方が多い印象を受けました。昨年参加されたご家族が、「今年も来ました」「この1年、神山まるごと高専を色々調べてきました」と再び参加されているケースも増えています。また、今年は中学3年生が多く、入試要項についての質問が多かったです。
―去年までと比べて、今年の特徴的な点はありますか。
去年よりも「起業」というキーワードが多くなりました。「神山まるごと高専ではテクノロジー、デザイン、起業家精神を育んでいます」と説明しても、去年までは「そもそも起業ってなんですか」と質問される方が多かったのですが、今年は起業という言葉が理解されやすくなったと感じました。
中学校での授業も変わってきていて、例えば地域のお店の課題を解決する授業や、近所でイベントを開催する取り組みがあります。本校が目指そうと思っている方向性と相性が良いと思っています。
―神山まるごと高専では、どのような中学生に来てほしいと考えていますか。
アドミッションポリシーにもあるように、正解のない問いに物怖じせずに取り組める人に来ていただきたいです。
「ものづくりに興味がある」と話す中学生はたくさんいます。でも、「この2年間で具体的にどんなものをつくったの?」と聞くと「中学生になってからはテストが忙しくてつくらなくなった」という人もいるのが現状です。
私たちは、完成していなくても、小さくてもいいので、手を動かしてみてほしいなと思います。つくってみることで、自分が何に興味を持っているのか、どこに難しさや面白さを感じるのかが、より具体的に見えてくるからです。
―最後に、神山まるごと高専を目指す中学生や保護者の方へメッセージをお願いします。
倍率だけを見て、「うちの子には無理かな」と諦めないでほしいです。学力試験だけで選抜している学校ではないので、お子さま自身がどうアドミッションポリシーに向き合って、どう成長していきたいのか——そう思えるのであればマッチすると思います。
小学生の頃から本校を知っている受験生もいらっしゃれば、受験の数か月前に初めて知るご家庭もあります。でも、早く知っていた人だけが有利な学校ではありません。お子さま自身がどう向き合ってきたかを見ていますので、ぜひトライしていただきたいです。
◇
今回の説明会では、各校の職員の方とのお話を通して「参加者の変化」が見受けられました。
小学生や中学1年生といった早期の段階から情報収集を始める家庭が増え、「高専とは何か」を知るのではなく、「どの高専が自分に合うか」を知るための説明会へと変わりつつあります。「高専ってどんな学校ですか」、「高専って何ができますか」ではなく、「この高専にはどんな特徴があるのか」、「卒業後はどんな道があるのか」といった、より具体的な相談が数多く聞かれました。
高専への関心が高まりつつある今、それぞれの学校が持つ特色を知り、自分自身の将来と照らし合わせながら選ぶことが大切になっています。今回参加した保護者の方や中学生にとってこの説明会は、その将来を描くための大きな一歩となったことでしょう。
◇
○イベント概要
【第5回私立高専合同進学説明会】
開催日: 2026年7月5日(日)10:00~14:00
主催:日本私立高等専門学校協会
後援:一般社団法人全国高等専門学校連合会、全日本中学校長会 、東京都港区教育委員会
開催場所:金沢工業大学虎ノ門キャンパス(東京都港区愛宕1-3-4 愛宕東洋ビル13階)
神山まるごと高等専門学校 の記事
アクセス数ランキング

- 工学に「伝わるデザイン」の視点を。建築出身の校長が描く、鹿児島高専での新たな学び
- 鹿児島工業高等専門学校 校長
道地 慶子 氏

- 学問は最高のエンターテインメント。AIを味方に「自分で学べる人」を育てる
- 木更津工業高等専門学校 情報工学科 教授
大枝 真一 氏

- 「広い世界で勝負したい」と36歳で企業から大学へ。正解のない時代に求められる高専教育
- 北九州工業高等専門学校 校長
片山 佳樹 氏
-300x300.jpg)
- 高専OG初の校長! 15年掛かって戻ることができた、第一線の道でやり遂げたいこと
- 鹿児島工業高等専門学校 校長
上田 悦子 氏

- 小学生の頃に夢見た「通関士」を目指して。留学と民謡を通して深める、言葉と文化への理解
- 國學院大學 文学部 外国語文化学科 3年
小熊 夢唯 氏

- 地域で生きる力を“パスポート”に——学生が生き生きと活躍する釧路高専を目指して
- 釧路工業高等専門学校 校長
長尾 和彦 氏

- 変わりゆく高専とともに30年。次世代へ受け継ぐ「生きる力」を育む高専教育とは
- 東京都立産業技術高等専門学校 校長
柴﨑 年彦 氏
-150x150.jpg)
- 「自分にしかできないこと」を追い求めたから、今がある。デザインで街を元気にする取り組みとは
- 石川工業高等専門学校 建築学科 教授・副校長(地域・国際連携)
道地 慶子 氏

- 「記録」の先にある「継承」へ。新聞記者から高専教員に転身し、学生とともに社会実装に挑む
- 高知工業高等専門学校 ソーシャルデザイン工学科 准教授
楠瀬 慶太 氏

- 「機械をつくりたい」その思いを貫いて——海という厳しい環境で無人観測ロボットの研究に取り組む
- 神戸市立工業高等専門学校 機械工学科 准教授
小澤 正宜 氏



-300x300.jpg)




