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高専への進学が最短ルートだった!バンダイ/BANDAI SPIRITSで かなえたい、幼い頃からの夢とは?

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©創通・サンライズ        

一関高専を卒業後、幼い頃からの目標だった株式会社バンダイ/株式会社BANDAI SPIRITSに入社された髙橋空大さん。高専を志したきっかけや高専時代の思い出、現在のお仕事内容についてお話を伺いました。

商品化されてないなら、自分でつくってしまおう!

―高専に進学を決めたきっかけは、何でしたか?

文化祭で出店したメンバーと、おそろいのポーズで。
文化祭(前列右から2人目)

初代の「機動戦士ガンダム」世代である父の影響で、幼い頃からガンダムのアニメを見ることが好きでした。そこから自分でシリーズを追っていくうちに、好きな機体を見つけるようになって、BANDAI SPIRITS(当時 バンダイ)の商品である「ガンプラ」(ガンダムシリーズのプラモデル)が大好きになったんです。それからは、お小遣いは全てプラモデルに使ってきましたし、これまでにつくったガンプラは200個以上あります。

ですが、私が1番好きな機体のガンプラがまだ商品化されていなくて。小学校4年生の時に、どうやったらそれが手に入るかを考えた結果、「バンダイに入社して自分で設計すればいいじゃないか!」と思ったんです。

中学生の頃に、バンダイの採用情報を調べたところ、短大卒から入社できるということが書いてありまして。父に相談したところ、「それなら、高専に入れば最短で採用面接を受けることができるよ」と言われたんです。それが高専を目指すきっかけになりました。

―高専での学生生活はどうでしたか?

体育館にて、寮生とともに肩を組んで。
寮生活(中央)

4年生の時に、ロボコンの全国大会で優勝したときのことが強く印象に残っています。その年は、ペットボトルフリップといって、ペットボトルに水を半分入れて、そのペットボトルを投げ、回転させてから着地させるというお題でした。

夏休みには合宿もあり、体育館に大人数で泊まって、毎日実験と作業の連続という日々を送っていました。ものづくりが好きな仲間が集まっているので、作業にも熱が入っていました。意見の食い違いも起きますし、思い通りにいかないことも多いんですよね。その分、全員でつくった作品で優勝できた時は、うれしさも格別でした。

また、低学年のうちから設計ツールである「CAD」を使うことも多く、早い人だと2年生のうちからロボットの機構の設計などを担当していました。低学年だけで文化祭に向けたロボットを作製するという企画もありましたし、普通高校では、なかなかできない経験だったなと感じています。

ものづくりは、全部1人でやるのではなく、部分ごとに担当が決まっていて、最終的に組み合わせて完成させるというのが基本の流れなんです。

文化祭に向けてUFOキャッチャーをつくったときには、私はボックスの部分を担当していたのですが、その部分を完璧につくり上げるだけでなく、アームの部分と規格を揃えるための調整にも手間をかけていました。そういったところで、設計の技術だけでなく、ものづくりの本質についても学べたかなと思います。

初担当商品が発売!好きなものと触れ合いながらできる仕事

―現在はどのような業務を担当されていますか?

ベージュと茶色と濃茶のミリタリー柄で、ポーズを取るガンダムのプラモデル
初担当商品(髙橋さん自身による作例)

3Dモデルを使って、プラモデルのデザインや内部構造に関する設計を担当しています。デザイナーさんから送られてきた設定画をもとに、いかに忠実に再現できるか。立体的に再現が難しい部分については、どう見せれば全体のデザインに支障がないか、ということを考えながら、業務に取り組んでいます。

今年は、自分が初めて設計を担当した商品を発売することができました。自分にとって最初の商品だったので、商品化を伝えたい人がたくさんいまして。高専時代の先生や友人に連絡したところ、複数人から「予約したよ!」という連絡をもらい、とてもうれしかったですね。

―社会人になってから感じた、高専の魅力はなんですか?

PCでソフトを使い、商品を制作している様子
仕事風景

高専は技術的な教育が多いので、特に私のような製作業に携わると、今まで学んできた内容が全て生かされているなと感じています。

たとえば、設計後の製作チームではどのような作業を行っているのか、どういった加工工程があるのかといった、自分が直接担当していない業務に関する知識も、高専での教育のおかげで身に付いています。こういった知識は、他の担当の方と調整する際にもすごく役立ちますし、学んでいて良かったと思う部分です。

また、高専の本科卒業後、希望の企業に入社できなかった場合でも、大学に編入学したり、その後も大学院に進んだりすることができるかな、と思っていました。人生の選択肢を多く持てたことも、高専ならではの魅力かなと思います。

―今後の目標を教えてください。

最近では、趣味でプラモデルの塗装も行っていて、デザイン性も楽しむようになってきました。そうすると、塗装するうえで、「パーツの分割はこうしたほうが作業しやすいだろうな」と気づくこともあるんですよね。

そういったユーザー側の目線も取り入れながら、全体のバランスを見る力を身に付け、プラモデル的な機能を落とさずに、ユーザー満足度の高い商品をつくれたらなと考えています。そして、ゆくゆくは自分が好きなキャラクターの商品を担当させてもらえるよう、日々努力していきたいと思います。

挑戦する気持ちを持ち続けてほしい

―高専生に向けて、メッセージをお願いします。

青空が、会社のガラス張りの外観に反射するなか、ポーズを取る髙橋さん

自分にはできないと思っても、挑戦する気持ちを持ち続けてほしいです。私自身、バンダイへの入社を何度か諦めそうになったこともありました。

高専は、学校からの推薦で企業に入社することも多いんです。推薦は決まる時期がすごく早くて、早い者勝ちで周りの友達もどんどん就職先が決まっていくので、焦りも大きくなっていきました。

そういったときに、友達が「大丈夫!」と声を掛けてくれて、「せっかくバンダイに入社するために高専に入ったのに、ここで諦めたくない!」と、踏みとどまることができ、なんとか内定をいただくことができました。

人生の分岐はどこで訪れるか分かりません。自分には無理だと思っても、本当にやりたいことがあるのなら、チャレンジしてみてください。

そして、学年問わず、同級生や先輩・後輩との交流を深めることも忘れないでほしいと思います。私は寮生だったので、寮生活を5年間ともにした仲間とは今でも連絡を取り合っています。就職や進学によって離れることになっても、支え合える仲間がいることはとても心強いと、社会人になって強く感じています。今の高専生活での友人を是非大切にしてください。

髙橋 空大
Kodai Takahashi

  • 株式会社BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部 設計・金型チーム

髙橋 空大氏の写真

2020年3月 一関工業高等専門学校 機械工学科 卒業、4月より現職

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小林先生
研究者として、教員として、父親として——2度の育児休業を経て、現在の目標は「今あるモノを残しておくこと」
「夢中になる」ことが自分を磨く、伝播していく「ものづくり熱」。
実践的なものづくりを通した、社会実装志向の研究

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