国立高専の令和5年度入学者選抜学力検査の本試験まで残り1カ月を切りました。高専を目指すみなさんは、入試勉強のラストスパートに突入していることと思います。
入試対策において「過去問」を解くことは必須です。そこで今回、月刊高専スタッフ2人が実際に過去問を解いてみました。本記事は実際に問題を解いてみた感想、対策方法などを月刊高専スタッフ独自の目線で、入試対策には少し遅いタイミングかもしれませんが、お送りするコラムとなります。
今回取り組んだ過去問は、直近にあたる令和4年度の学力検査の本試験。実は、この試験から「思考力・判断力・表現力」をより重視したものになっており、それらをより測れるよう工夫した問題が出るようになっています。
過去問を解いた月刊高専スタッフは、高専の文系学科を卒業して1年も経っていないライターK(国立大学文系3年生/女性)と、高校の理系出身で国立大学の文系学科を卒業した大卒8年目のライター兼編集担当O(メディア総研㈱勤務/男性)です。それでは、数学の問題について見ていきましょう。
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一見ややこしそうな問題に見えても……
O:Kさんは、高専入試の数学対策はどうしていたんですか?
K:難易度が公立の高校入試よりも高いと思うので、参考書の中でも「発展問題」や「難易度の高い問題」を中心に、慣れるようになるまで解いていました。でも、私は数学が苦手でして……、今回の数学は本当にひどい結果でした……
O:確かに、良い結果とは言えませんね……
K:そもそも大問4は問題を見ただけで「あっ、自分にはできない」と思って、全く手を付けられなかったです。
O:でも、いざ手を出してみたら、大問4は意外とすらすら解けると思いますよ。
K:大問4って、本当に「これぞ高専入試」って感じがしますね。
O:似たような問題は公立の高校入試にもあるみたいですが、それより難易度は高いと思います。でも、やっぱり大問2や大問3と比べると、難易度はそこまで高くない気がして。少なくとも、時間をかければ解けると思います。つまり、「問題文を理解できる能力=国語力」があれば、解法を導くのにそこまで苦労しないというか。
K:今まで見たことがないタイプの問題でも、しっかり問題文を読めば、実はそこまで複雑ではない解法で解ける場合があるってことですね。
O:ですので、中学生のみなさんも、難しそうだから最初から問題を捨てることはしないでほしいなと思います。
1番差が付きやすいのは数学?
K:逆に、Oさんは高専入試の数学の問題に、どのような印象を受けましたか?
O:結構親切だなと思いました。
K:えっ、どういうところがですか!?
O:問題にしている図形が大きく描かれているところです。しかも、数パターン描かれています。確かに問題のレベルは高いと思いますが、この図形を利用して、分かるところからどんどん書き込んでいけば、答えを導き出すためには何をするべきなのかが見えてくると思うんです。これは、さっきの大問4にも同じことが言えますね。
K:でも、私みたいに数学が苦手な人って、図形にいろいろ書いたとしても、答えを導くまでのところになかなか繋がらないんです。分かっている点同士を線で繋ぐことができないというか。それに苦労しながら20年間生きてきましたね……
O:赤ちゃんの頃から苦労していたんですね(笑)
K:それくらい、解くのが苦痛でした(笑)
O:今回の大問3は図形の問題でしたが、図形の知識だけでなく、比率の知識も必要としましたよね。数学が必要とする知識量は比較的少ないと思いますが、その知識をフル稼働する可能性があると思って問題を解くことに普段から慣れていると良いかもしれませんね。
K:あと、数学が苦手な人は、まず小問集合の大問1を絶対に落とさないように解いた方が良いと思います。これは、私自身が高専入試を受けた当時もそうでした。
O:なるほど。こうして喋っていて思ったのですが、Kさんと自分で結果が全然違う通り、数学は1番差がはっきり出やすい科目なのかもしれません。満点を1番とりやすいのは数学だけど、0点を1番とりやすいのも数学という。
K:そう! 数学で点をとれる人って、本当にとれるんですよね。数学が得意な人に高専入試を解いてもらったら、30分もかからずに解きましたから。しかも当然満点で、完璧な解説付きで!
O:ですよね! 数学が苦手な人は、教科書や参考書などで「数学には様々な解き方がある」ことを知り、過去問や問題集を試行錯誤しながら解くことをおススメします。「同じ問題」は2度と出ませんが、「同じような解き方」はよく出ますので。解き方を考える癖をつけるには、そのような練習が必要かと思います。
数学が得意な人ほど「冷静さ」が必要
K:じゃあ、数学が得意な人は、どういうことに気を付ければ良いと思いますか?
O:得意であればあるほど、計算ミスや勘違いに注意しないといけないと思います。得意であるがゆえに、どうしても筆が滑るんです。
K:なるほど、ある意味「冷静ではない」ということですね。
O:例えば大問1の(8)の問題は、レベルとしては基本だと思います。半径2cmの円の円周は、半径3cmの円の円周に対してどれくらいの割合を占めるのかを利用して、円錐の表面積を算出する問題です。
O:けれど、自分も経験したことがあるのですが、円周を求めるときにうっかり「半径×円周率(π)」をしてしまうんですよね。もちろん、「円周率とは、円周と直径の比」ですので、正しくは「円周=直径×円周率」なのですが、スラスラと解きすぎると、「半径×円周率」をしていることに気づかないんです(※ただし本問題では、このようなミスをしても、結果的に答えと同じになります)。
K:数学が得意な人同士だと、そういったミスで差が付くことになりますよね。得意な人はおそらく時間を余らして解き終わると思うので、何度も言われていることだと思いますが、見直しを絶対にしないといけないと思います。あと、マークミスにも気を付けたいところです。
O:数学に限らず、マークシートには早く慣れないといけませんね。答えが分数のときは、特に注意したいところです。マークミスは、東大を目指す人でもやってしまうぐらい、誰しもが陥りやすいミスですので、みなさんも注意してほしいですね。
K:高専によっては数学の得点を2倍換算するところがあるので、1つのミスが命取りになる場合もあると思います。防げるミスをしっかり防がないといけません。
O:「防げるミスをしっかり防ぐ」——実はこれが1番難しかったりするんですよね。
※この内容は、あくまで月刊高専スタッフ2名独自の感想です。
<数学の得点>
K:34点/100点 O:97点/100点
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<お知らせ>
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