2026年2月23日(月)と24日(火)に、東京の一橋講堂にて【第3回 高専起業家サミット】(主催:独立行政法人国立高等専門学校機構(以下、高専機構)、月刊高専)を開催しました。今回からアイデア部門、プロトタイプ部門、スタートアップ部門の3部門で実施した本イベントについてレポートします。
1日目:学生同士や協賛企業との交流を深める
高専起業家サミットは、高専スタートアップ支援プロジェクトの一環として、起業を目指す高専生が一堂に会し、ビジネスプランの発表、交流を行うイベントです。高専生の起業チャレンジ機会を創出し、同じ志を持つ高専生同士や、高専起業家を支援したい企業との交流を活性化することを目的として、2024年から開催しています。
◆過去のレポート記事
【第1回 高専起業家サミット】のレポート記事
【第2回 高専起業家サミット】の開催レポート記事
前回から大きく異なった点は、部門が「アイデア部門」「プロトタイプ部門」「スタートアップ部門」の3つになったことです。ビジネスプランの進行状況は各チームによって異なるため、それに応じた3つの部門を設け、より多くの高専生が参加できるようにしました。

結果、3部門あわせて総勢33校35キャンパスより93チームのご応募をいただき、書類審査を経て、45チームがサミットに出場することになりました。内訳は、アイデア部門25チーム、プロトタイプ部門14チーム、スタートアップ部門6チーム。出場チームは定期的にメンターとビジネスプランのブラッシュアップに取り組み、サミット当日に臨みました。

初日の2月23日(月)は、開会式と交流会を行いました。開会式では高専機構の谷口理事長からの挨拶があり、「今回のビジネスプランを確実に世の中に定着させて、日本の新しいフェーズをつくっていくこと」「企業の方、地域行政の方、他高専の方と連携していくこと」についてお話しされていました。

そもそも今回の出場チームの中には、他高専の学生と一緒にチームを組んでいるケースが、少ないながらも存在していました。他高専との連携という点において、今後は合同チームが増えることになるかもしれません。
また、開会式前に参加者限定で行ったポスター発表では熱のこもったディスカッションが繰り広げられていたほか、開会式後の交流会では、学生同士はもちろんのこと、企業の方と名刺交換をして話し込む学生も見受けられました。受賞する/しないに関わらず、連携を生み出すきっかけとなる機会が生み出されていたと言えます。

2日目:ビジネスプランを発表! ここがゴールではない
翌日の24日(火)は、各部門に分かれてビジネスプラン発表(ピッチ、ポスター)を実施しました。同日は観覧の方々も参加され、ピッチやポスター発表をご覧いただきました。

ピッチは、ビジネスプランの発表と審査員からの質疑応答で構成されています。発表スタイルも多様で、特にプロトタイプ部門とスタートアップ部門の会場であった一橋講堂では、司会台で理路整然と発表している学生、壇上を広く使いながら堂々と発表している学生など、さまざまな発表スタイルのプレゼンテーションが行われました。


そして、難航を極めた審査の末、結果は以下となりました。
| 部門・賞名 | 高専名 | 受賞チーム |
| スタートアップ部門 最優秀賞 | 沖縄高専 | Neighbors Net |
| スタートアップ部門 優秀賞 | 大分高専 | NeurestX |
| プロトタイプ部門 最優秀賞 | 阿南高専 | Awanext |
| プロトタイプ部門 優秀賞 | 大分高専 | MiMiCs |
| アイデア部門 優秀賞*1 | 神山まるごと高専 広島商船高専 産技高専 品川キャンパス 神戸市立高専 沖縄高専 | codell 岸・藤原研究室 私のチーム 綿雲研究所 ゆがふぁーむ |
| Honda IGNITION賞 (提供:本田技研工業株式会社様) | 和歌山高専 | かつてパン作ってた僕ら ※プロトタイプ部門出場 |
| オーディエンス賞*2 | 阿南高専 | 阿波乙女 ※アイデア部門出場 |
*2:オーディンス賞は、ポスター発表を観覧された協賛企業・一般観覧者の方々の投票形式により選出
スタートアップ部門で最優秀賞を受賞したのは、沖縄高専「Neighbors Net」でした。ビジネスプランは「災害時に使えなくなったスマートフォンで通信の空白地帯を消す!CoMesh」で、災害時に通信が途絶された被災地に、確実に情報を届けるための通信デバイスを発表。LPWAアドホックネットワークによるデバイス間のバケツリレー通信を活用したアイデアでした。
※同チームは、2026年1月に開催された【第4回高専防災減災コンテスト 最終審査会】でも文部科学大臣賞を受賞しています。コチラのレポート記事も、ぜひご覧ください(インタビューあり)。

プロトタイプ部門で最優秀賞を受賞したのは、阿南高専「Awanext」でした。ビジネスプランは『「KaLas」によるレーザー除草~除草作業中の熱中症から救え!~』。車に搭載したレーザーから発射された光を、レーザー走査スキャナーを搭載したドローンに照射し、その反射光を地表の雑草に照射することで除草するプランでした。

表彰式の最後では、審査委員長の若原昭浩氏(豊橋技術科学大学 学長)からの講評がありました。

高専生みなさんの「社会課題を解決したい」という思いは非常に強く、それを実現するだけの力を持っていらっしゃると思いました。大変素晴らしい取り組みを高専全体でされてきたことが、今日の発表を通じて感じ取ることができました。
受賞できなかったチームも、受賞チームとの差はそこまで大きくありません。ビジネスプランそのものを否定するものではありませんので、さらなるブラッシュアップを行い、別のピッチコンテスト等も含めて、ぜひチャレンジしてほしいです。
最後にですが、起業することがすべてのゴールではありません。起業すればそこがスタートであり、5年後には中小企業の社長として今後の成長戦略を描く必要があります。企業に就職した場合でも、このような取り組みで育んだアントレプレナーシップ(起業家的精神)は企業内で非常に大きな価値を持ちます。企業に就職しても起業しても、日本社会を変えていくんだという熱い想いを抱いて、今後も続けていただきたいと思います。
前日のポスター発表・交流会含め、会場内を包み込んでいたのは、まさしく熱気でした。ビジネスプラン発表にかける思いももちろんですが、他高専の学生や協賛企業の方々に対して声をかける多くの学生の姿は、「今後の自分たちは何をしていけばよいのか」をより深く考えるための行動に見えました。そういった姿勢もまた、アントレプレナーシップの表出の1つかもしれません。


今回は45チームが出場しましたが、「起業」「アントレプレナーシップ」といったキーワードのもと、これだけバリエーションに富んだ多くの学生が集まったこの場は、非常に貴重なものだったでしょう。これが次の連携、次のコミュニティ形成につながることを期待しています。
◇
○イベント情報
【第3回 高専起業家サミット】
日時:2026年2月23日(月)、24日(火)
場所:東京・一橋講堂
協賛企業(五十音順・敬称略):
<プラチナ>
本田技研工業株式会社
<ゴールド>
株式会社ヌーラボ
<シルバー>
株式会社アクセスネット、株式会社エクスプローラ、NTTデータフォース株式会社、株式会社NTTデータフロンティア、かんぽデジタルシステムズ株式会社、京王建設株式会社、株式会社 東京エネシス、株式会社ニチボウ、ファーストループテクノロジー株式会社、マブチモーターエンジニアリング株式会社、株式会社三菱UFJ銀行
<ブロンズ>
旭化成株式会社、TDCソフト株式会社、株式会社マネーフォワード
協力団体・企業:株式会社CAMPFIRE、株式会社マネーフォワード、みちのくアカデミア発スタートアップ共創プラットフォーム(主幹機関校:東北大学)
主催:独立行政法人国立高等専門学校機構、月刊高専(メディア総研株式会社 運営)
後援:文部科学省、国立大学法人豊橋技術科学大学、国立大学法人長岡技術科学大学、一般社団法人ソフトウェア協会、株式会社日本政策金融公庫、株式会社日本金融通信社
HP:https://startup.gekkan-kosen.com/
○高専スタートアップ支援プロジェクト クラウドファンディング特設ページ
https://camp-fire.jp/curations/kosen
※CAMPFIREのサイトに遷移します
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