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源流は高専時代!? 多様化するキャリア形成のあり方を、3者3様のスタイルから感じる

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1つずつ学年違いで富山商船高専(現・富山高専)の国際流通学科(現・国際ビジネス学科)を卒業し、大学へ進学、その後就職とファーストキャリアを築いた小松昇平さん、棚田祥太さん、中谷美咲さん。3人が学生時代に感じたことからその後のキャリア形成への影響まで、現役高専生だけではなく、卒業し社会人になった方にも参考になる、先輩方の歩みを紹介します。

1つ1つが基礎となった高専時代の学び

―高専を卒業されて10年以上ですが、そのときの学びは、ビジネスパーソンとしてどのように生かされていますか?

棚田さん:高専では、レポートを書いたり、プレゼンを行ったりと知識のインプットからアウトプットまでの流れが1年生からあり、学年が上がるにつれ授業やゼミを通してその機会が増えていきました。社会で通用する、他の学校にはない珍しい機会を与えてもらっていたのではないかと思います。

棚田さん
▲取材をお引き受けいただいた棚田さん

中谷さん:私もプレゼンをした経験は良かったと思います。社会に出てから要求されることもありますが、いざ突然大勢の前で求められると固まってしまうと思いますが、高専時代に40人のクラスメイトの前などで経験したため、そのときの記憶や経験が生かされています。

中谷さん
▲取材をお引き受けいただいた中谷さん

小松さん:チームで課題に取り組むことも多かったので、仲間と仕事をしたりする今に生かされていますね。振り返ると、当時は成長している実感がなかったです。うまくいかないことも多く、トライアンドエラーを繰り返して努力する方向を模索していました。

小松さん
▲取材をお引き受けいただいた小松さん

―みなさんは大学に編入学されていますが、高専と大学それぞれを選ぶ決め手はありましたか?

中谷さん:私は田舎育ちで、小中の9年間を1つのクラス30人で学んでいたのですが、塾に行くようになって初めて、新しいコミュニティとの関わりがありました。30人での世界観とは異なる会話が広がっていて、もっと新しい世界やコミュニティに飛び込めば、新たな人々や価値観を知ることができるのかなと感じたんです。それが高専入学のきっかけとなりました。

夏休みの海外研修を通した短期留学をしたり、県内外からの進学者がいたりと、実際にバランスよく、県外や海外のセンスを取り入れて学習できる環境だったと思います。また、5年制なので、当時の感覚では大人な20歳の方とも交流できる機会があることも魅力の1つでした。

棚田さん:僕は語学を学ぶことに興味があったので、富山商船高専の国際流通学科に入学しました。理数系が苦手だった反面、語学の習得は、勉強する時間も、身について会話できるようになる時間も、楽しいと感じていました。また、自宅からも近く、身近な存在でもありました。

大学を選んだ決め手は、経営学部として独立した学部を持つ大学だったことが1番大きいです。編入学による進学者も多かったですし、せっかく高専に入って得た機会だからと思って受けました。小松さんへの憧れもありましたからね(笑)

小松さん:本当かな〜(笑) ただ、国際流通学科から神戸大学の経営学部へ編入する人が毎年いたのは確かですけどね。僕の場合は、国内では第一人者だった組織行動論の先生が神戸大学にいたのが決め手でした。

小松さん、棚田さん、中谷さん
 

小松さん:高専を選んだのは、大学進学のために勉強する日々を送ることに違和感があったからです。専門的な勉強を早い段階から始め、実践的な体系で授業に取り組めることに魅力を感じました。

―高専卒でよかったなと思うことはありますか?

小松さん:国際流通学科は高専の中でも文系なので、必ずと言っていいほど周囲から突っ込んでもらえることですね。また、女子学生が多いのも珍しいことなので、職場で女性がいてもタジタジすることなくフラットに関われることもあるでしょうか(笑)

棚田さん:僕も就職活動のときは学歴のことをよく聞かれました。まず、編入の仕組みを説明して、文系の高専卒だと説明すると、それだけで面接時間が終わってしまうことなんかもあったりして(笑) 社会に出ると自分に関心を持ってもらえること自体がありがたいことですけどね。

決め手はそれぞれ、キャリアの積み方もそれぞれ

―ファーストキャリアはどのように決めましたか?

中谷さん:当時就活していた頃は、手に職をつけて着実に働けることに憧れていました。大学3年の頃に行ったインターン先での経験が決め手となり、SE職でシステムをつくっていこうと思い、NECソリューションに入社しました。

小松さん:僕は転職を繰り返しており現在で6社目になるのですが、1社目は大学の先輩の会社でした。その先輩がどのような思いで会社を経営しているのかを知りたくて、人を見て決めた就活でしたね。

棚田さん:僕は転職の経験がなく、現在の会社にずっと勤めています。お酒を通したビジネスにずっと興味を持っていたので、就活当時から関連した会社や食品関係などを志望していました。

小松さん、棚田さん、中谷さん
 

―転職のきっかけについても教えてください。

小松さん:転職活動では基本的に業界や業務内容軸で転職してきました。ですがそれだけではなく、自分に合った職場環境かはとても大事にしています。割と激務の会社で働いてきたのですが、今の会社が1番プライベートと収入のバランスが取れていると思いますね。

中谷さん:私は現在、総合コンサルティング企業に勤めているのですが、日々新鮮な経験ができ、とても成長を実感しています。

成長スピードは速ければいいのはもちろんですが、自分の限界値を知って、無理のない範囲で成長するのも1つのベストかもしれません。日々の努力を継続できることが、結局は圧倒的成長へとつながっていくと思っています。前職のNECソリューションイノベータも「手に職をつけて着実に働ける」という、つまりは「自分自身が堅実に成長できること」を求めていました。

小松さん:僕の場合は、より学びのある環境を求めて転職しています。仕事を通じて学びがないと飽きてしまうので。また、「あの人と働きたい」という動機で仕事を選ぶこともあります。

棚田さん:僕は転職していないものの、同じ部署には転職で入社されている人はいます。たまたまですが、僕の周りにはそういう人がわりと多いです。転職していないにもかかわらず、周りの環境が変わる、ということもあるんですね。

棚田さん、中谷さん
 

―現在のお仕事で楽しいと感じることと、難しいと感じることはありますか?

棚田さん:ECビジネスを通じ、変化に富んだお客様の購買行動と日々対峙することが面白いです。eコマースの成長やスマホ決済の普及などにより、買い物接点の多くがデジタル化されています。お客様の購買行動を理解し、それを基に仮説立てプラニングを行うこと、それがお客様へどのように影響したか見えることに、面白さを感じます。

一方で、そうした環境変化によりお客様の行動は多様化しているので、仮説通りでないことも多く、難しさも感じます。変化のスピードも速いですし、必ずしも規則性があることばかりではありません。だからこそ、Test and Learnを繰り返し、お客様から絶えず支持を頂けるよう努力しています。

小松さん:現在の会社は外資系企業の日本法人で、立ち上げのフェーズなので、裁量権を持って働くことができます。また、ITの中でも比較的新しい「アドテクノロジー」という仕組みを商材とするため、ノウハウや価値について最新テクノロジーを用いて提供できるのも楽しいですね。

その反面、提供価値が合意されておらず、業務がない商材であるため、提案する角度も考える必要があります。また、企業規模が大きくないため、1人の業務範囲や影響の度合いが高いです。どのように組織を構築していくかが企業としての課題だと思います。

小松さん、棚田さん、中谷さん
 

中谷さん:現職はプロジェクト制を取っているため、時期によって業務内容が変わります。とはいえ、私の強みはITテクノロジーなので、システム構築/運用保守フェーズにかかわることが多いです。システムが稼働する場面を見ると嬉しいですし、方法が無限にあるため、クライアントと話すたびに新たな発見を感じることができます。

難しい点としては、バランスをとって、「正解」をつくらなければならないことです。誰かにとっての花丸が全体最適とは限らないので、着地点を見つけるのは大変ですね。また、“もやもや”を体系化していく言語化力も求められます。課題を発見し、悩みを明確化させる能力が求められているんです。

―仕事を通して、自身の成長や、やりがいを感じる瞬間はありますか?

中谷さん:システムローンチ後に、利用者やその先の消費者からの良いフィードバックが目に見えてあったときが1番「やってよかった!」と思えますね。どんなに頑張っても追いつけないんじゃないかと思う人が多く、日々刺激を受けています。

小松さん、棚田さん、中谷さん
 

棚田さん:自分たちが描いたプランが成果に結びつき、お客様からの支持を頂けたときです。そして、それを社内だけではなくビジネスパートナーであるクライアントと共有できたときが最も達成感を感じます。

小松さん:日本の大手企業様との取引がスタートしたときや、新しく機能や仕組みをキャッチアップし、戦略的に行動し、新規売上などの成果に結びついたときですかね。今後は、より高みを目指していきたいです。

棚田さん:今後でいうと、富山との関りを持ち、地元に恩返ししていきたいです。卒業後もゼミ生との交流の場に参加したり、歴代同窓会を企画したりと、現役生-卒業生-教員のつながりを大切に考えています。現役生と卒業生の間で活発な人的交流やシナジーが生まれると面白いのではないかと思っていますね。

次の世代へのバトンとして、先輩が伝えたいこと

―中学生が進路を決める上で、高専という選択肢についてどう考えますか?

小松さん:高専の特徴って、15歳から先生との距離を近くして過ごすことができますよね。大学受験に一生懸命な日々を送っていると、なかなか同じような日々は過ごせないのではと思います。社会との関わりを持ちながら学校生活を送っていくことができるのが、高専の魅力ではないでしょうか。

棚田さん:僕は、学科のカリキュラムや内容を聞いて「面白い!」と興味が湧くのであれば、ぜひ受けてみたらよいと思います。そうでないなら、極端な話、やめておいた方がいいです。5年間その世界にどっぷり浸かるわけですから、それぐらい白黒はっきりした上で入学した方がいいですね。

小松さん、棚田さん、中谷さん
 

中谷さん:高専は5年間かけて過ごすので、ある程度の時間が与えられます。自分の興味のある分野を選定した上で、ゆっくり考えて自分の人生を定めていきたい人にはおすすめです。

―高専生にメッセージをお願いします。

中谷さん:高専っていう選択は結構な変わり者ですが、その選択をしたことは誇っていい点です。違っているということは確実に個性としてプラスになります。高専には猛者も多く嫌になることもありますが、自分のやりたいように、好きなようにやっていれば、きっと誰かが協力してくれます。自分で選択した道であれば、すべて正解になると思います。

棚田さん:高専は何事にも自由にチャレンジできるフィールドだと思います。興味関心を持ったことを是非自分らしくとことん追求し突き抜けてください。また、そのプロセスでぜひ多くの方々と関りを持ってみてください。プライベートでもビジネスでも、高専で繋がる人脈の強さは財産だと感じます。

小松さん:15歳で自分の人生を自分で決めた皆さんは、決められたレールに乗らない選択をしましたね。これからの人生でもたくさん意思決定をすることがあると思いますが、一生懸命考えて、その時々で1番良い選択をして、選んだ道を正解にしてください。

小松さん、棚田さん、中谷さん

小松 昇平
Shohei Komatsu

  • DoubleVerify Japan セールスディレクター

小松 昇平氏の写真

2009年3月 富山商船高専 国際流通学科 卒業
2012年3月 神戸大学 経営学部 経営学科 卒業
2012年4月~2014年2月 シナジーマーケティング株式会社
2014年3月~2016年9月 Ginzamarkets, Inc.
2016年10月~2018年7月 Datorama Japan株式会社
2018年8月~2019年11月 セールスフォース・ジャパン
2020年2月~2021年3月 株式会社RevComm
2021年4月~ DoubleVerify Japan

棚田 祥太
Shota Tanada

  • キリンビール株式会社 流通営業本部 広域流通二支社 EC部

棚田 祥太氏の写真

2010年3月 富山商船高専 国際流通学科 卒業
2012年3月 神戸大学 経営学部 経営学科 卒業
2012年4月~ キリンビール株式会社

中谷 美咲
Misaki Nakaya

  • 総合コンサルティング企業 テクノロジー所属

中谷 美咲氏の写真

2011年3月 富山商船高専 国際流通学科 卒業
2013年3月 新潟大学 経済学部 経営学科 卒業
2013年4月~2018年9月 NECソリューションイノベータ株式会社
2018年10月~ 総合コンサルティング企業

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