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東京での「修行」を経験して、いずれは富山に! 高専を卒業した2年目社員の仕事への取り組みと、キャリア設計

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同じ研究室で学び、現在は社会人として別々の道を歩む、富山高専 国際ビジネス学科出身の金津充貴さんと高岡慧さん。同じ環境で学び、ゆくゆくは地元である富山での活動を志されているそうです。高専時代の出来事からビジネスパーソンとしての活躍について紐解いていきます。

ゼミでの活動が、いつの間にか礎に

―お2人は国際ビジネス学科出身です。どのような学科なのでしょうか?

高岡さん:国際ビジネス学科では、「外国語とビジネスの知識を駆使するグローバルな人材を育てる」がスローガンとして掲げられています。主に学ぶ内容は、ビジネスと語学の面に分かれており、ビジネスですと経営学と経済学、法学、物流など。語学ですと英語と、あと環日本海諸国語として、ロシア語、中国語、韓国語の中からもう1つ第二外国語を学ぶ(※)ことができます。

※令和6年度(2024年度)入学生より、環日本海諸国語はロシア語と中国語の2言語から1つ選択する形式になります。

高岡様
▲取材をお引き受けいただいた高岡さん

金津さん:ビジネス面では、4年生大学ですと3年生までの授業内容と似ており、ビジネスの分野に括られるもの全般を広く浅く学ぶことができます。各専門分野の基礎論や概論を幅広く学び、簿記の授業(2級まで)など、会計学にも触れていました。

これらを高校生の年代から学ぶことができるのは有意義だと思います。ただ、体系的にビジネスを学べると謳っているものの、先生の人数にはどうしても限りがあるため、先生自身が中心に据えているわけではない専門分野を教える可能性があることに注意が必要です。

また第二外国語の授業は知識や単語の詰め込みではなく、プレゼンやスピーチなどを通して「実用的な場面を想定している」のが特徴的でした。先生はネイティブの方が担当してくださるので、発音も細かく指導してもらうことができ、かなり身につきました。

金津様
▲取材をお引き受けいただいた金津さん

―入学の決め手は何でしたか?

高岡さん:他の学校とは違い、1年生から専門的な科目を学ぶことができると思ったからです。中学生の頃は英語が得意だったので、自分の強みを生かして、圧倒的に成長できる環境だと思いました。私にとって「圧倒的に成長できる環境」は、現在の職場でも大事なテーマになっています。

金津さん:僕は中学生の頃に世の中の仕組みを理解したいと思い、それを知ることができる環境だと思ったからです。世の中について知ることができれば、自分のやりたいことをやりたいように実現できるのではないかと思いました。この基礎的な探究心は現在までの活動の原動力にもなっています。

―研究室も宮重先生のところで一緒だったそうですが、思い出などはありますか?

金津さん:挫折を経験したという思い出が1番に浮かびますね。研究室に入って最初の半年間は、ゼミの活動の時間が苦痛でした(笑)

僕たちの研究室ではゼミ指定書を輪読していたのですが、「発表」も「議論を行う際の学生の質問」もレベルが高く、一方自分は質問が全く思い浮かばず発言できないことが何回も続いていました。それに対して宮重先生もただ残念そうな反応をするだけでしたので、それが余計に辛かったです。

取材時の様子

高岡さん:確かに、ゼミの質問の時間は私にとっても結構きつい時間でした。ただ、そのゼミ活動の時間は、今のビジネスにおいて「思考の造成や理解」をする上での助けになっています。先日、社内で「ビジネスセンスがあるね」とお褒めの言葉をいただいたのですが、高専時の授業やゼミを通して学んだことが礎になっているなと思いました。

金津さん:僕もゼミ活動を通してロジカルシンキングや問う力などを身につけることができました。僕は卒研のテーマがなかなか決まらず、ギリギリで宮重先生に卒業論文を提出し、またがっかりされるだろうと思っていました。しかし、とても良い反応を示していただいたんです。

高専で過ごしていた期間は、自分が成長できている実感があまりなかったので、先生の反応にはびっくりしました。ゼミ活動の辛い時間を通して、知らず知らずのうちに成長していたのでしょうね。

SNS等を通した就活。現在の仕事内容は?

―現在のお仕事について教えてください。

金津さん:僕は会計事務所に勤めていまして、中小企業の決算業務と、財務コンサルとしての経営アドバイスなどがメインです。特に、経営アドバイスでは、経営計画作成指導を主として行っています。具体的には、経営者の会社に対する想いを数字で示し、再現性が高い経営ができるようアドバイスさせて頂いています。

高岡さん:私は複業プラットフォームの提供を行う企業に勤めています。お金を稼ぎたいという単純な目的だけではなく、多様な目的・目標を持つ個人と、人材を必要とする企業や自治体のマッチングを支援するのが、主な事業内容です。現在の会社にはインターン時代からお世話になっているのですが、その頃から市場規模も大きくなり、会社としても成長しています。

取材時の様子

―その仕事を選んだ理由などはありますか?

金津さん:理由は3つあります。1つ目は、外から経営に携わることで、より多くの企業を観察することができ、世の中のビジネスの仕組みを理解することにつながるのではないかと考えたから。2つ目は、お客様と1対1で関わり、自身の価値を120%伝えて、お客様の人生を少しでもよくすることができ、それに対する感謝を実感できる「家庭教師」のような仕事だったから。3つ目は、中小企業という分野に興味があり、探究の可能性を感じていたからです。

高岡さん:私は現在の会社での長期インターンがきっかけです。高専時代は富山で地方創生やまちづくりに関する課外活動をしていたのですが、学生だけではできないこと、行政だけではできないことがあると痛感しました。まちづくりをするときに、専門的なスキルや経験を持っている人がいれば、町は変わると確信しました。そのマッチングを促進しているのが、まさに同社だったのです。

同社でインターンをすることになったのは、ある方をきっかけにSNSを通して社長が私に声をかけてくださったことが始まりでした。近年は就活時にさまざまなプラットフォームやSNSを活用して、自由に企業と出会うことができます。

取材時の様子

金津さん:確かに、近年は就活の方法も多様化していますからね。僕はベンチャー企業志望で就活をしていたので、OfferBoxやWantedly、SNSなど、既存のプラットフォームに捉われない就活が多かったです。

―就職されて2年が過ぎたと思いますが、感触はいかがですか?

高岡さん:現在は会社の広報を担当しているのですが、伝える内容やターゲットを考えた上で、どのツールを利用すればより多くの人に的確に伝わるのか、日々模索しながら取り組んでいます。

ベンチャー企業は裁量権が大きいので、自ら企画して実行までできるのは楽しいです。取材対応を任せてもらえたり、社内広報の一環としてラジオ配信を始めたり、自分のできることが徐々に増えています。

金津さん:経営計画作成指導の場として、中小企業経営者を対象とした「経営計画25時間合宿」という3日間のセミナーを行っているのですが、そこでポジティブな反応をいただけたときなど、お客様から必要とされる存在になれると嬉しいです。社内で成長できていることを実感でき、充実していますね。

あと、僕はなるべく早く出世したいなと思っています。それは単に収入や地位を手に入れたいだけではなく、ポジションを得ることでできる仕事があり、視座の高い仕事を行うことができると考えているからです。また、将来富山に戻って働く場合も、視座が高い自分の方が、選択肢も広がるのではないかと考えています。

取材時の様子

高岡さん:私も今の仕事での経験を通して、将来は富山に戻り地域貢献ができればと思っています。広報のスキルをさらに磨き、ゆくゆくは富山の良さを広める活動をしていきたいです。

地元に対する思いと、それぞれの今後について

―お二人とも地元富山を離れ、フィールドを東京に移されていますが、東京と富山、それぞれをどのように捉えていますか?

高岡さん:東京で過ごす時間は修行の時間だと思っています。将来は富山に戻りたいと思っているので、東京で生涯暮らしていこうとは思っていません。富山で過ごした日々が今の私をつくってくれている——それが、富山に対して愛着を感じる1番の理由でしょうか。

また、東京に住み始めてから、富山で見られる風景の1つ1つが当たり前じゃないと感じました。そのときに、「富山の景色が好きなんだ」と再認識しましたね。

金津さん:僕にとっても、東京は永住する場所ではないですね。将来は県内や北陸の高専生や大学生に、自身の経験を生かして、授業を持つことができればと思っています。学生が社会に出たときに、「あの授業役に立ったな」と感じられる「生きた経営学」を教えつつ、そのようなことを学べる社会にしていきたいです。

取材時の様子

―最後に、将来を担う高専生にメッセージをお願いします。

高岡さん:今学んでいることは、将来何に生かせるかどうかわからない方も多いかと思います。しかし、高専での学びを生かすか殺すかは自分次第です。また、就職時にはいかせなくても、何年後かに必ず学んでおいてよかった、と思うときが来ると思います。私も卒論研究で学んでいたCSRの知識が、今の広報活動に役に立つなんて思ってもいませんでした。ぜひ今の「学び」の時間を大事にしていただければと思います。

金津さん:高専生の皆さんには、今自分が頑張って取り組んでいる事、学んでいる事について、2つのことを意識してほしいと思っています。

①→なぜそれに取り組んでいるか、頑張っているかを考えて「言語化」すること
②→他のいろんな人と、言語化した理由をお互いに共有し合うこと

僕自身、「せっかくこんな変わったところへ来たのなら、その中でやったこと全て、将来自分が描いた通りの道に進むための土台として使ってやろう」と考えていました。今自分が何をしているのか、自分の世の中における立ち位置が俯瞰できると、結果的に「高専を有意義に使い倒せる」と思います。

金津 充貴
Mitsuki Kanadu

  • 株式会社古田土経営 フィールドマーケティング課

金津 充貴氏の写真

2020年3月 富山高等専門学校 国際ビジネス学科 卒業
2022年3月 神戸大学 経営学部 経営学科 卒業
2022年4月 株式会社古田土経営(税理士法人古田土会計) 入社

高岡 慧
Kei Takaoka

  • 株式会社Another works 経営管理部 広報

高岡 慧氏の写真

2020年3月 富山高等専門学校 国際ビジネス学科 卒業
2022年3月 富山高等専門学校 専攻科 国際ビジネス学専攻 卒業
2022年4月 株式会社Another works 入社

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