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【現地レポート】日本の私立高専4校が集結した「第4回私立高専合同進学説明会」。参加者と主催者の声から振り返る!

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2025年6月22日(日)、東京・金沢工業大学虎ノ門キャンパスにて、私立高専4校(神山まるごと高等専門学校、近畿大学工業高等専門学校、国際高等専門学校、サレジオ工業高等専門学校)が一堂に会した「第4回私立高専合同進学説明会」が開催されました。

日本に58校ある高等専門学校(高専)。その中で、地域の産業ニーズを鑑み、国公立とは異なる独自の教育カリキュラムを取り入れた私立の高専は、上記の4校のみです。本イベントを振り返りながら、特色豊かな私立高専の魅力や、参加者の声をレポートします。

学校説明と個別相談会で、各高専の特徴を知る

今回が第4回目となる私立高専合同進学説明会。朝10時の開場とともに多くの中学生や保護者の方たちが来場し、中には海外からオンラインで参加している方も。賑わう雰囲気の中、各高専による学校説明が始まりました。

学校説明の様子
▲学校説明の様子

学校説明では、各高専それぞれの学びの特色をはじめ、寮生活や国際交流といった学校生活についての話を、参加者たちが興味津々な様子で聞き入っていました。神山まるごと高専の「体育におけるセンサーを用いたサッカーの様子」や、国際高専の「畑から野生のサルをドローンで追い払う空撮動画」などが紹介され、参加者たちも高専の高度な教育環境に驚きを隠せていない様子でした。

各高専の説明終了後は、ブースでの個別相談会が開始。会場のあちこちで熱心に説明を聞く中学生と保護者の方たちが見受けられ、学びの環境や寮生活などについて耳を傾けていました。会場内では、4校がそれぞれ独自の教育カリキュラムや留学制度、学校生活に関しての情報を事細かに載せたボードを展示しており、メモや写真を撮りながら情報を集めている参加者の様子からも、開催側と参加側の本気度が伝わってくるようでした。

個別相談会の様子
▲個別相談会の様子

近大高専の職員の方に、参加者の方たちとはどういったお話をされているのかを伺いました。

本校での勉強についてや、寮生活の様子に関する質問が多いです。私は、いろいろな教科が満遍なくできるタイプよりも、何か一つ突出して得意な科目があるタイプの方が、高専にフィットすると思っています。プログラミングやものづくりなど、自分の興味関心を向けられる対象があって、そこに対して本気になれる学生が活躍しているケースが多いですね。

高専への入学を夢見る、参加者たちの想い

説明会に参加されていた保護者の方にもお話を伺いました。

知人に高専出身の人がいて、もともと高専が気になっていたので参加しました。先日池袋で開催されたKOSEN FES(国公私立高専合同説明会)にも息子と参加したのですが、初めて息子が進学先に興味を示すようになったと思います。いつもはだらしないのに勉強を頑張るようになり、試験前は朝の5時30分に起きるようにもなったので、親としてはやる気スイッチが入ってくれたのかなって。

親元を離れて自然の多い環境で学校生活を送るというのも、今の時代なかなかできない経験だと思います。息子が高専に入学したら、自分のやりたいことをやってほしいです。

隣にいらっしゃった中学2年生の息子さんにもお話を伺うと、

寮生活やプログラミングを勉強することに興味があります。地域の人と連携してプロジェクトを起こしたり、実際に起業したり、そういうことをやってみたいです。近大高専でのソーラーパネルで動く車の取組にも興味が沸き、今日話を聞きに来て良かったなと思いました。

と、期待に胸を膨らませた様子で話していました。

また、家族4人で参加されていた保護者の方と、中学3年生の息子さんにもお話を聞いてみました。

―私立高専合同進学説明会に参加された理由と、実際に参加してみた感想を教えてください。

保護者:もともとは神山まるごと高専のお話を聞きたくて参加しまして、他の私立高専は詳しく知りませんでした。しかし、今日でそれぞれの私立高専の特色を一度に知れたのがすごく良かったです。机に向かっての勉強だけでなく、社会や人の役に立つ勉強や経験を積むことができる環境が素敵だと思いました。

中学生:それぞれの高専の特徴を知れて良かったです。特にものづくりができる環境が面白そうだと思いました。今は個人的にAIのチャットボットのようなシステムをつくっているので、入学したらそれをどんどん発展させていきたいです。

―お子さまが高専に入学したら、どういう経験をしてほしいですか。

保護者:本人が持っている得意なことを伸ばしてほしいです。息子はプログラミングが得意なので、その能力が社会で生きるような、世の中の役に立てるような技術を学んでほしいなと願っています。高専はそういうことを教えてくれたり、能力を引き出してくれたりするところなのかなと思っています。

中には、長野県から早朝のバスに乗り、一人でやってきたという中学生も。今回の説明会参加のきっかけや、高専入学を志す理由を聞いてみました。

―今回の説明会に参加しようと思ったきっかけは何でしたか。

自分には、将来的に海外留学をしたいのと、16歳で起業家になりたいという夢があります。ですので、海外留学プログラムがあって、起業家精神を学べる学校を調べていたところ、神山まるごと高専と国際高専を知りました。

そして、今回の説明会を知り、両親にも相談して参加を決めました。昨日の夜は両親に手伝ってもらって、今回のための質問リストもつくってきたんです。

―入学後の夢が楽しみですね。参加してみてどんな印象を持ちましたか。

こういった説明会には初めて参加したのですが、各高専について詳しく知ることができて嬉しかったです。オンラインで参加することもできたのですが、対面だからこそ聞けた話もあったと思います。

―たくさん話を聞いてみた上で、自分の夢を叶えるために高専は追い風になりそうですか。

絶対になると思います。自分は苦手なことが多いですが、それでも諦めずに挑戦することで、自分ができることを高専で増やしていきたいです。

主催者側の想い「高専では、好きなことを真摯に突き詰められる」

今回の第4回私立高専合同進学説明会の主催である日本私立高等専門学校協会の会長で、サレジオ高専の校長でもある小島知博先生に、今回のイベントに対する想いを伺いました。

取材をお引き受けいただいた小島先生
▲取材をお引き受けいただいた小島先生

―多くの中学生と保護者の方々が参加されていますが、主催者側としては、今回の説明会を通して参加者のみなさまにどういった点を一番知ってもらいたいですか。

通常、私たちは学校広報として「“高専”という学校があること」を知ってもらうところから始めなければいけません。しかし、今日ここに参加いただいているみなさまは、高専の存在を知っていらっしゃいます。ですので、それぞれ全く違った特色がある4校の教育スタイルや、育てたい学生像をしっかりお伝えしたいなと思っています。

―高専に入学した方には、卒業後どのような道を歩んでほしいですか。

高専のそもそもの目的は、日本社会を牽引できるような、即戦力となる技術者を輩出することです。もちろん、進学して研究を進めるという選択肢もあります。

ただ、今の日本は若い技術者が減ってきています。今の時代、社会人になってからでも大学に入りなおすことができるようになりました。高専生は求人倍率が高いですので、まずは会社に入って仕事をしてみるのも良いのではないかと、個人的には思います。

―どういった方に高専に入学してほしいとお考えですか。

自分がやりたいと思っていることを真摯に5年間突き詰めていける——そういう方は高専にぴったりだと思います。例えばロボットが好きな学生は、ロボコンへの出場を目指して、夕方遅くまで工房で作業をする。そういった活動を通して、ロボットの仕組みだけでなく、ロボティクスといった学問の領域も勉強することができる。そんな学生が高専には多いです。好きだと思うことを突き詰めていける人が、一番伸びると思います。

今回の説明会では、勉強に目覚めた人、初めて進学に興味を持った人、起業の夢を語る人——それぞれの「やってみたい」の可能性が大きく花開いた日になりました。参加された中学生の方々の目には、高専という選択肢が、机の上での学びにとどまらない、人としての成長を後押ししてくれる環境として映ったことと思います。

今回集まった私立高専4校に共通していたのは、「好きなことを突き詰められる環境」があるということです。“好き”や“得意”を堂々と表現し、それが将来の夢や社会の為につながることを後押ししてくれる場所。それが高専なのだと強く実感できる説明会でした。

○イベント概要
【第4回私立高専合同進学説明会】
開催日:2025年6月22日(日)10:00~14:00
主催:日本私立高等専門学校協会
後援:一般社団法人全国高等専門学校連合会、全日本中学校長会、東京都港区教育委員会
開催場所:金沢工業大学虎ノ門キャンパス(東京都港区愛宕1-3-4 愛宕東洋ビル13階)

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