
2025年3月18日(火)、19日(水)に大阪・J-GREEN堺にて【2025東京エネシスカップ第2回全国高専サッカー地域選抜大会】が開催されました。地域別で選抜されたチーム同士で戦うこの大会は、昨年行われた第1回大会よりも参加地域が拡大しています。発展の段階にある本大会について取材しました。
第1回大会のレポート記事はコチラ。
初参加となった2つの選抜チーム
全国高専サッカー地域選抜大会は、サッカーを通した他高専の学生同士の交流によって、サッカー技術の向上だけでなく、学生自身の人間的な成長を促すことを目的に始まりました。2024年3月に開催された第1回大会では、九州、中国、関西、北信越の計4チームが参加。総当たり戦(リーグ戦)の結果、九州選抜が優勝しました。
そして、今回の第2回大会では、第1回大会に出場した地域に加え、北海道地域と東海地域の選抜チームが初参加しており、大会規模が拡大しました。


初参加となった北海道選抜と東海選抜の学生は、どのような気持ちで大会に挑んでいるのでしょうか。北海道選抜の廣川晋成さん(旭川高専3年生、取材当時)と、東海選抜の小川遼さん(岐阜高専4年生、取材当時)にお話を伺いました。


―第2回大会に参加することが決まったとき、どのような気持ちになりましたか。
廣川さん:他の高専生と戦えることを素直に嬉しく思いました。全国大会に出場できるチームは限られているので、出場できなかった人たちもこのような大会で集まって戦えるのは、すごく良い機会だと思います。
小川さん:もともと第1回大会の存在は知っていて、大会を通して他高専の方と関わることができるのが面白そうだと思っていました。4年生が出場できるのは東海高専大会と全国高専大会だけでしたので、今回の大会があるとモチベーションを維持することができ、自分の技術を高めようという気持ちになります。
―第1回大会で参加学生に好評だった、スポンサー名が入ったユニフォームに関してはいかがですか。
廣川さん:そもそもユニフォームが支給されて試合できるところにプロっぽさを感じます。自分たちでは経験できないことなので嬉しいですし、デザインもかっこよくて満足しています。
小川さん:デザインもかっこいいですし、スポンサーさんの名前が入っていることで、「この方たちのおかげでサッカーができているんだ」と、プレー中にも実感できます。
―参加するにあたって、チームで決めた目標や方針を教えてください。
廣川さん:初めて会った人とも話し合って、自分たちで解決しながらチーム作りをしていくスタイルにしました。もちろん、優勝を目指しています。
小川さん:戦術ももちろんですが、みんなで声を出すことを心掛けようとなりました。初めての顔合わせとなった事前練習でも、サッカーを通して他の高専生と喋り、仲良くなることができましたね。
第2回大会では、第1回大会で採用された総当たり戦ではなく、6チームを2グループに分け、3チームのグループ内でリーグ戦を実施。そして、それぞれのグループの1位同士が優勝決定戦を、2位同士が3位決定戦を、3位同士が5位決定戦を行うことで最終的な順位が決定します。
グループリーグは、晴天となった18日(火)に行われました。


▲中国選抜(赤)と関西選抜(青)による試合の様子
九州・沖縄選抜と北信越選抜の試合は、特に白熱したゲーム展開になりました。前半に九州・沖縄選抜が2点奪いましたが、後半に北信越選抜も2点奪って同点に。そして、後半終了間近に北信越選抜がもう1点ゴールを決め、ついに逆転。そのまま3-2で北信越選抜が勝利しました。


▲九州・沖縄選抜(白)と北信越選抜(橙)による試合の様子。北信越選抜が逆転となるゴールを決めた瞬間と、試合が終了した直後のもの
最終的に、グループリーグの結果は以下になりました。


これにより、19日(水)に開催される順位決定戦のカードは、5位決定戦が東海×北海道、3位決定戦が九州・沖縄×関西、優勝決定戦が北信越×中国となりました。5位決定戦は初出場同士の対決となります。
第1回大会の特別協賛による反響
順位決定戦の前に、第1回大会から引き続いて特別協賛をしている東京エネシスについて取り上げようと思います。
東京エネシスは東京電力グループの一員として、電力インフラを支えている企業です。火力・原子力・水力発電所だけでなく、電気設備、エネルギーソリューション、通信インフラ関連事業、そのほか再生可能エネルギー資源を活用した発電所の建設・保守についても事業の主軸としています。
第1回大会の特別協賛による反響などについて、総務・人事部長の今井孝さんにお話を伺いました。

―第1回大会の反響を教えてください。
社内でも社外でも非常に大きな反響がありました。社内ではこれをきっかけにコミュニケーションが拡大したという話を聞いています。社外ですと、訪問したお客様のところでの話題作りとして活用させていただいています。
―特別協賛によって、採用面でも変化があったそうですね。
はい、非常に大きく変わりました。第1回大会での特別協賛をきっかけに、工業高校や大学の大会ともコラボレーションさせていただく機会が増え、その影響もあって、2025年度の新入社員については計画を大きく上回る採用ができたんです。
―第1回大会と同様に、東京エネシスの社名が入ったユニフォームが学生から好評です。
第1回大会に向けて準備をしていた頃にも、高専サッカーに携わる先生方から「ユニフォームに企業名が入ると、学生のモチベーションがすごく上がる」と伺っていました。多くの学生さんがそのように言ってくださるのを、我々も大変嬉しく思っております。

特に建設業界では、就業者数の減少と高齢化が大きな課題として挙がっています。若い人材の確保という点において、第1回大会の特別協賛によって様々なコラボレーションを生んだという東京エネシスの事例は、業界にとって注目され得るものでしょう。
順位決定戦がスタート! 全地域が参加する予定は?
さて、いよいよ順位決定戦です。前日の夜に雨が降り、天候が心配されましたが、曇り空で迎えることができました。グループリーグの日よりも太陽が照っておらず、会場近くの海からの風も強かったため、選手にとってはかなり肌寒かったかと思います。
初出場同士の対決となった5位決定戦は両者譲らぬ攻防で、1-1の同点のままPK戦にもつれ込みました。

PK戦は両ゴールキーパーによるスーパーセーブが目立ちましたが、結果的には「3 PK 2」で北海道選抜が勝利。勝利が決まった瞬間、固唾を飲んで見守っていた選手たちと5番手キッカー、キーパーが集まり、歓喜の輪ができていました。

5位決定戦終了後、廣川さんと小川さんに今大会を振り返っていただきました。
廣川さん:チームとしては悔しい場面もあったんですけど、最後は勝てたので、いい雰囲気で終われてよかったと思っています。今大会では失点が多かったので、次回も出場できたら、しっかり守備から入ることで、自分たちが有利に試合を進められるようにしていきたいです。
小川さん:チームとしては負けましたが、試合後もチームとしてすごく喋っているので、「声を出す」という目標自体は達成できたと思っています。普段関わらない高専の人たちとサッカーを通して関われたことが嬉しかったですし、この経験を生かして、これからの岐阜高専での部活も頑張っていきたいなと思います。
5位、6位という決して上位とは言えない結果にはなりましたが、高専全体でのサッカーレベルの向上や、他高専の学生同士の交流に本大会が寄与していることがうかがえるコメントでした。
そして、全日程の最後に行われた中国選抜と北信越選抜による優勝決定戦は、中国選抜がゴールを決めて先制しました。昨日から数えて3試合目というタフさが求められる状態でしたが、中国選抜はその1点を守り切り、1-0で勝利。見事、優勝を決めました。


▲中国選抜(赤)と北信越選抜(橙)による優勝決定戦の様子。フリーキックのボールをゴール前で押し込んで得点し、これが決勝点となりました

閉会式では優勝チーム、準優勝チームのほか、最優秀選手、優秀選手が表彰。優勝した中国選抜には優勝杯「東京エネシスカップ」が贈呈されました。

規模が拡大したことで、さらに充実度が増したと感じられた本大会。次年度は東海地区での開催が予定されています。また、2年後は四国・関東・東北を含めた全9地域が参加した、JFAの主催大会になることを目指しているとのこと。今後の展開に目が離せません。
◇
◎大会情報
【2025東京エネシスカップ第2回全国高専サッカー地域選抜大会】
日程:2025年3月18日(火)、19日(水)
場所:大阪・J-GREEN堺(堺市)
参加チーム:九州・沖縄地域高専選抜、中国地域高専選抜、関西地域高専選抜、北信越地域高専選抜、東海地域高専選抜、北海道地域高専選抜
特別協賛:株式会社東京エネシス
協賛:ミズノ株式会社、株式会社モルテン
後援:(一社)関西サッカー協会、(一社)大阪府サッカー協会
主催:(一社)全国高等専門学校サッカー連盟
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