株式会社Blueshipは、企業や自治体などが抱える煩雑な作業などを、クラウドサービスやソフトウェアの開発・提供によって解決する企業です。今回はBlueshipで働く4名の高専卒社員にインタビューし、自身の仕事内容や将来の展望などについてお伺いしました。
○インタビューをお引き受けいただいた高専卒社員のみなさん
・H.A.さん(入社5年目)
所属:サービスデリバリーチーム
出身高専:サレジオ工業高等専門学校 情報工学科
・K.K.さん(入社4年目)
所属:プリセールスチーム
出身高専:沖縄工業高等専門学校 メディア情報工学科
・Y.N.さん(入社3年目)
所属:サービスデリバリーチーム
出身高専:沖縄工業高等専門学校 メディア情報工学科
・S.A.さん(入社2年目)
所属:サービスデリバリーチーム
出身高専:サレジオ工業高等専門学校 情報工学科
ServiceNowを活用したサービス開発
―まずは、サービスデリバリーチームに所属されているH.A.さんとY.N.さんの仕事内容について教えてください。
H.A.さん:サービスデリバリーチームでは、お客様が手作業などで行われている業務を効率化するサービスの開発・提供・サポートをしています。
プロジェクトによって内容は異なりますが、1番シンプルな場合ですと、まずはお客様の課題を明確にしてから仕様を検討・決定し、開発スケジュールを組んで、各開発者で設計し、実装となります。私は開発リーダーを務めていますので、仕様や設計のレビューイングや、スケジュール管理などを行っていますね。
ただ、最近はプロダクトオーナーを担当することが増えてきました。プロダクトオーナーが担う重要な仕事の1つとして、お客様がサービスを使用する際のストーリーをつくることが挙げられます。これをすることで「サービスに必要な機能」が見えてくるんです。
また、サービス提供後のお客様から届く「さらなる要望」をキャッチアップして、開発チームに共有する役割もあります。
Y.N.さん:私はサポート業務を担当しています。基本的にはサービス運用の管理でして、お客様が問題なく運用できているかをBlueship目線で確認したり、お客様からご連絡いただいた不具合の調査・対応をしたりしていますね。特にサービス導入から2カ月ほどは、そのサービスにお客様が慣れていない場合がありますので、お問い合わせが多くなります。
その中でも私が行っているのは、「自治体様向けの給付金サービス」のサポート業務です。あくまで肌感ですが、自治体様では幅広い方が働いていらっしゃいますので、中にはPCを扱うのに不慣れな方もいらっしゃいます。そのような方でも問題なく使用できるよう、お客様と同じ画面を見ながら、お電話でサポートしています。
―同じサービスデリバリーチームに所属されているS.A.さんは入社2年目です。Blueshipに入社を決めた理由は何でしたか?
S.A.さん:高専では情報工学科でしたが、プログラミング知識を生かしたいというよりも、学科特有の「論理的な考え方」が生かせる仕事をしたいと考えて入社したのがBlueshipでした。
実際、自治体様の補助金サービスの案件を担当した際、開発の順序を考えたり、外部(BP)にタスクを依頼する方法を考えたりする中で、論理的な考え方が生かせていると実感しましたね。現在は別案件で、自治体様のネットワークインフラの選定および設計・発注などを行っています。
―仕事内容に大きく関わることだと思いますが、Blueshipは「ServiceNow®(※)」のプレミアパートナーと伺っています。そもそもServiceNowとは何なのでしょうか?
※ServiceNowは、ServiceNow, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
Y.N.さん:ServiceNowはSaaS型のサービスで、プログラミングの高度な専門知識がなくても実装できるのがウリのプラットフォームです。Blueshipでは、そのServiceNow上で動くサービスを開発して、お客様に提供しています。
H.A.さん:ServiceNowが特に優れている点は3つあります。1つ目は、今流行りのローコード(最小限の開発でアプリケーション等がつくれる手法)でお客様の様々な業務プロセスを自動化できる点。2つ目は、各種クラウドとの連携が幅広く行える点。3つ目は、ServiceNow上で動く各サービスの運用をServiceNow社が事前にパッケージ化しているため、お客様が導入した時点ですぐに運用できる点です。
そのため、お客様がServiceNow上のパッケージ化されたサービスを導入し、お客様が持っているデータを取り込み、Blueshipがローコード開発でその企業に合わせたチューニングを行う、という流れが一般的となります。
ServiceNow社はアメリカの企業ということもあり、アメリカでは大企業での導入も進んでいるのですが、日本での普及は少し遅れていました。しかし、現在はServiceNowへの認知が日本でも高まってきており、多くの企業・自治体様が興味を持ちはじめ、導入も進んでいる段階です。
S.A.さん:実際私も、就職活動でBlueshipの担当者からServiceNowの説明を受けて初めて知りましたね。ただ、入社後にある1カ月ほどの研修の内、1週間はServiceNowに関する内容でしたので、そこで知識を吸収しました。
珍しい仕事? プリセールスチームの業務
―H.A.さんとY.N.さんは、同じサービスデリバリーチームとしてやり取りはあるのでしょうか?
Y.N.さん:サポート業務についてのアドバイスを、H.A.さんからいただくことがあります。H.A.さんはServiceNowへの理解度が高いので、自分では気づけなかった観点からのアドバイスに助かっています。
H.A.さん:Y.N.さんは謙遜して言っていますが、お客様に対するヒアリング能力が求められるサポート業務において、Y.N.さんのその能力は高いと思っています。
また、ヒアリングによって原因に気づいた後も、それを解決するためにはシステム上でどうすれば良いかを自分で考え、その解決に至るまでの道筋を整理した状態で他メンバーに共有してくれるので、Y.N.さんには非常に助けられています。
Y.N.さん:これ恥ずかしいですね(笑)
H.A.さん:そうですね(笑)
―(笑) 一方、今回のメンバーではK.K.さんだけプリセールスチームです。
K.K.さん:プリセールスチームは、提案書やデモの作成をすることで営業サポートをしている部署です。営業の方から「サービスに関する専門的な知識や提案」をお伝えするのは難しいので、それを私たちプリセールスチームが担っているんです。
以前はサービスデリバリーチームで開発やサポートの仕事をしていました。だからといって、プリセールスチームに配属されたときに不安があったわけではなく、「新しいことにチャレンジできるワクワク感」がありましたね。
プリセールスチームの難しいところは、案件を獲得する前の段階の仕事ですので、完成したサービスをお客様に使用していただいたうえでの要望とは性質が異なる点です。まだ慣れていない仕事なので、楽しみを見つけて今後もやっていきたいですね。
―それ以外に感じる、サービスデリバリーチームとの違いは何ですか?
K.K.さん:打ち合わせをする機会が多いです。あと、これは個人的な部分ではありますが、社内で困りごとがあれば、すぐに首を突っ込むようにしていますね。S.A.さんから「ヘルプ~!」って相談が来ることもあります(笑) ですので、打ち合わせが5割、作業が3割、困りごと解決が2割といった割合でしょうか。
S.A.さん:ネットワークインフラ系の案件ですと「契約」の問題に直面することがあるのですが、私はその分野では門外漢でして……。ですので、プリセールスチームで知見を持っているK.K.さんに相談することがあります。あと、チームは違うもののオフィスが一緒なので、シンプルに仲が良いという理由もありますね(笑)
―仕事を始める際は、朝会などが行われているそうですね。
H.A.さん:9:00からの30分間は、全社での朝会と環境整備(社内の清掃やメールの整理など)の時間です。その後、各プロジェクトの業務に移ります。
K.K.さん:環境整備は大事な時間です。出社してすぐに「仕事するぞ!」とはどうしてもなりにくいので、清掃やメール整理といった単純作業を通して頭を整理することで、やる気スイッチをオンにしています。スポーツ選手のルーティーンみたいな感じです。
成長中のBlueship。みなさんの将来の展望は?
―Blueshipでの仕事で、「やりがいを感じたこと」や「嬉しかったこと」は何ですか?
S.A.さん:先ほどお話ししたネットワークインフラの設計などの業務にやりがいを感じています。私の記憶違いでなければ(笑)、出身であるサレジオ高専では深く学んでいない分野でしたので、仕事を通して勉強することで知識が増えるのは純粋に嬉しいです。勉強によるインプットと、ステークホルダーの方へのアウトプットという循環も楽しいですね。
Y.N.さん:お客様が抱える運用面での問題に早急に対応できると嬉しいです。また、サポート業務に数多く取り組むと、問題の原因を見つけるのが速くなるので、そこに自分の成長を感じます。
K.K.さん:プリセールスチームとしては歴が浅いので、やりがいを感じることはまだ少ないです。ただ、大きな案件になると、お客様から送られてくる機能要件が400項目くらいありますので、それに対する見積りを提出するときは達成感があります。
H.A.さん:3年目のころに、給付金サービスの案件を担当したことがありました。その分野の知識は若干あったものの、大変な業務でしたね。
H.A.さん:その案件ではK.K.さんと一緒にメインプログラマーとして携わり、3カ月間ほど実際に手を動かしながら「自動化したい自治体様の業務の洗い出し」から「機能・仕組みの検討」までしていました。アウトプットが多かった分、知識もかなり身に付きましたし、短いスパンでサービスを開発する力が鍛えられたと思います。
―Blueshipの強みは何にあると考えていますか?
K.K.さん:私なりの考えですと、「案件として料金をいただいていない段階から、お客様の利益のために親身になって対応しているから」だと思います。お客様と対面でお話しする機会はあまりないのですが、お客様からの文面を見る限りでは、「ぜひBlueshipにお願いしたい!」という雰囲気を感じることはよくあります。
―入社5年目のH.A.さんから見て、Blueshipは変わったと思いますか?
H.A.さん:この5年間で「変わった」か「変わってない」かだと、「変わった」と思います。1・2年目は自社商品である「Quady®」やRPAツールの開発・導入に関する業務がメインでしたが、以降はServiceNowを用いたサービス開発がかなりの比重を占めるようになりました。それによって業務の進め方なども変わり、お客様と直でコミュニケーションをとりながら開発できるようになりましたね。
また、社員数だけで見ても、私が1年目の頃は40人ほどでしたが、今では新規メンバーも増え(90人、2023年6月末時点)、雰囲気は確かに変わりました。でも、社風は維持されていると思います。変にチームで分かれずに、新入社員に対して先輩社員が寄り添ってサポート出来ているからではないでしょうか。
―最後に、今後の自分のビジョンがございましたら教えてください。
S.A.さん:私の見ている先輩像はH.A.さんとK.K.さんで主に形づくられていますので、K.K.さんみたいに「相談したらなんでも答えてくれる接しやすい人」になりたいですし、H.A.さんみたいに「ServiceNowを含めた技術面で頼られる人」にもなりたいです。
Y.N.さん:入社3年目という、Blueshipの仕事がちょっとずつ分かってきた時期となり、部下が付くことも増えてきましたので、上司としてフォローができるようになれればと思っています。
例えば昨年、2年目社員として、新入社員向けのServiceNow研修を担当しました。教育に興味を持っていたので、担当したいと手を挙げたら、任せてもらえたんです。「人に教える」という部分で、貢献していきたいですね。
K.K.さん:今まで未来を考えて仕事をしたことはなかったのですが、ここ最近は「一人間として、どうしていけば周りの人たちが笑顔になるのか」を意識しています。ビジョンというより「在り方」かもしれませんね。「困りごとがあれば、すぐに首を突っ込む」というのも、その意識を体現したものです。
H.A.さん:5年目といえど、まだまだ若手ですので、新しい技術・サービスをどんどんお客様に提供して喜んでいただくことで生まれる「つながり」を大事にしたいと思っています。
そして、もっとたくさんのプロジェクトを回せる体制をつくって、お客様からのご意見を正面からうかがい、プロジェクトを成功させることで、多くのメンバーにそのような喜びを感じてもらえるようにしたいです。
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