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高専OGが活躍する、最新DX工場を取材!

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第一工業製薬株式会社には多くの高専OB・OGが在籍しています。今回は食品の乳化剤に使われるショ糖脂肪酸エステル(以下、SE)を製造する滋賀工場を取材。

男性目線の職場をつくり変え、初めてSE職場に女性社員を配属する、自社開発したシステムでDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるなど、環境の改善に注力しています。

高専OG社員インタビュー

野田 加奈さん
第1製造課SE職場 入社2年目 佐世保高専物質工学科出身

作業着を着ている女性

古田島 奈美さん
第1製造課SE職場 入社1年目 長岡高専 専攻科 物質工学専攻出身

作業着を着ている女性

―第一工業製薬に入社したきっかけを教えてください。

野田さん:4年生の夏、第一工業製薬のインターンシップに参加したときに「すごく居心地が良いな」と感じました。BtoB企業に興味があったこと、先輩方の気さくな対応も決め手です。27人いる同期のうち、高専卒は11人。先輩方にも多くの高専OB・OGが働いています。

古田島さん:学生時代のインターンシップ先を選ぶときに、第一工業製薬に就職することが決まっていた学科の先輩からおすすめされたのがきっかけです。実際に雰囲気が良く、「健康経営優良法人ホワイト500」に選ばれていたことや、寮や有休の取りやすさなどもあり入社を決めました。

―今の仕事内容について教えてください。

野田さん:SEを製造する生産ラインに異常がないか、チェックする仕事です。工場内のあらゆる機器に設置されたカメラや温度センサーが収集する情報を記録し、異常値があれば現場に駆けつけて原因を探ります。

十数個のモニターが並んだ部屋
工場内を一目で把握できる

古田島さん:工場は24時間稼働しているので、2人4班を3交代制で回しています。シフト制なので遅く帰ることもありますが、寮は社屋の隣なので怖くはありません。

―野田さんは初の、古田島さんは2期目のSE職場女性社員ですよね。勤務環境はいかがですか?

野田さん:25kgの袋を持って機械に投入したり、重たい釜の蓋を開け閉めするといった力仕事があります。だから男性ばかりの職場だったんですね。私が入社するにあたって油圧式の昇降機やバランサーを取り入れていただき、力を使わず作業できるようになりました。

古田島さん:インターンシップのときにも「もっと働きやすい職場にするために意見が欲しい」と言われましたね。トイレや更衣室も改装されていて、すごくきれいです。今でもやりにくい部分を会社に報告すれば、すぐに対応してもらえます。

―学生のときはSEの研究をしていたんですか?

野田さん・古田島さん:ほとんど扱っていません……(笑)。

野田さん:入社当初は機械や工具の名前が覚えられず、自信を持って使えるようになるまで時間がかかりました。

古田島さん:高専とは比べものにならない大きい設備で「押すボタンを間違えたら爆発するんじゃないか」と思って気が気じゃありませんでした(笑)。少しずつできることが増えて、今は落ち着いて作業ができています。

―高専に行ってよかったことは。

モニターを見る野田さん古田島さん
決まった時間に状態をチェック

野田さん:高専ではX線を使った非破壊検査をしていたので、安全管理の基礎はできていましたね。

古田島さん:SEを分析するときに使う機械のなかに、高専で使ったものと同じ機器があったんです。初めての作業は怖かったけど、分析のときはホッとしていましたね(笑)。

―学生時代とまったく同じ分野でなくても、リンクする技術があるんですね。ありがとうございました。

システムを自社開発する最新DX工場

矢田 稔さん
保全原動課 入社15年目 大阪府立高専 工業化学科出身

モニターを見る男性

石丸 裕一郎さん
第1製造課SE職場 入社12年目 新居浜高専 生物応用化学科出身

モニターを見る男性

第一工業製薬が力を入れている、生産本部のスマート化。生産管理上のデータ収集や分析するためのツールを、社内の開発チームが作成しています。

「生産工程の改善」と「生産効率の改善」の2本の柱のもとに、安価に実施する。また安価なセンサーを用いた予防保全の推進、これが第一工業製薬が進めるDXの特徴です。

2019年秋から取り組んでいるのは「横展ボード」の活用。日ごとの生産目標達成率や機器の累計停止時間をグラフ化し、設定した目標値に対しての日々の増減を把握・全ての関係者で共有・考察し、改善につなげました。

実際の横展ボードを前に

横展ボードを管理し、社内に毎日呼びかけたのは高専OBの社員。この取り組みによって、生産量は年間71トン、売上は1億円以上増加する見込みです。

コンサルや大がかりな装置を導入することなく、改善に必要な数値だけを集めて計算し、ローコストでデータを元にした利益の創出を実現しました。生産効率の改善です。

予防保全も推進しています。造現場内に100~200円で購入できるセンサーと安価PC「Raspberry Pi (ラズベリーパイ)」を取り付け、センシングした振動や温度のデータをクラウドに送信。異常値が出た場合は自動で担当者のもとにメールが届きます。機器が緊急停止する前に原因を解明することができるのです。

日々精度の向上を目指す、高専OBならではの追求する姿勢がありました。今後は振動の周波数を解析し、さらに早い段階で故障の予兆を察知する検証をしていきます。

スマート化が進むと、社員のデジタル技術習得も求められます。2020年4月から、月2回のDX研修が始まりました。希望した社員と新入社員、合わせて80人以上が受講しています。

高専で課題を解決する姿勢を培った社員たちも新たな課題を前にして試行錯誤しながら「もともとDXに興味があった」「楽しいことを追求できる」と、デジタル化に前向きに取り組んでいます。

第一工業製薬株式会社 滋賀工場
〒529-1403 滋賀県東近江市五個荘日吉町427
TEL:0748-48-3131
https://www.dks-web.co.jp/

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