全国各地から高専教員および企業採用担当者の方々にお集まりいただき、交流・意見交換を行うイベント「高専教員×企業交流会」を、2022年3月28日(月)に東京流通センター 第二展示場Fホールで開催。コロナ渦が落ち着きを見せる中、万全の感染対策を施し、対面式となる「基調講演」「意見交換会」「交流会」の三部構成で行いました。
第一部 「基調講演」
高専教員と企業の採用ご担当者の方々約100名にお集まりいただいた本イベント。開始前から、各所で名刺交換や情報交換のためのスモールトークの光景が広がりました。
第一部は、函館高専の小林淳哉副校長による基調講演からスタート。「各高専の個性を知って『高専×企業』の実りある関わりをつくる」をテーマに、30分のプレゼンテーションが行われました。
まず、「MCC(モデルコアカリキュラム)」制度によって、高専生の教育水準が保たれ、産業界からの高い評価を得られていると解説された小林副校長。しかし、今後はその点を踏まえた上で、ぜひ各高専の「強み」にも注目してほしいとの要望があげられました。
「高専」とひと口に言っても、北は北海道から南は沖縄まで、全国に所在する高専の特徴はさまざま。気候・文化・風土が異なるそれぞれの土地で、各高専はその地域に合わせた取り組みに力を入れているとのことでした。
例えば、函館高専では、地元酒造会社と協業して酒蔵を開設。函館に酒蔵ができるのは、なんと54年ぶりだそうです。
始まりは、函館高専での課題解決型学習「PBL(Project Based Learning)」での酒造りだったそう。この例にあるように、高専と企業がコラボレーションする「PBL」のメリットは他にもたくさんあるようです。他高専への横展開、地域とのコネクション、自社インターンシップへの学生参加など、高専と連携することの「うまみ」を企業に見出してもらいたいと、小林副校長よりご講演いただきました。
第二部 「高専教員と企業の意見交換会」
続いて、第二部「高専教員と企業の意見交換会」が行われました。1テーブル5~6名でのグループセッションでは、各テーブルに高専教員の先生が2~3名着席され、前半40分では、「各高専の取り組みの紹介と企業への要望」について、高専側より説明が行われました。
各高専の取り組み、そして時と共に醸成されてきた各校の「強み」についてのお話では、IoTやDX、地域への貢献などを切り口として、今がまさに学生教育に直接乗り出すチャンスとのことでした。さらに高専の進路指導における「担任」の役割の大きさについての話題も。
その後、企業担当者の方々がテーブルを移動して、後半へ。「高専卒で活躍する人材とは? 双方が高専生採用に期待すること」というテーマについてディスカッションが行われました。
第三部 「高専教員と企業の交流会」
第三部「高専教職員と企業の交流会」では、高専毎に1テーブルが配置され、企業の採用担当者の方が、高専のテーブルを訪ね、自由に歓談するというスタイル。全国各地の高専教員が参加されているため、先生方の専門は電気・電子、情報、機械などさまざまでした。
多くの方々に交流いただけるよう「10分」というルールで始まりましたが、各テーブルそれぞれに話はつきない様子。企業採用担当の方からは、「自社、製品/サービスの紹介」「インターンシップ」「求人票」「高専生に訴求する方法」「高専採用を成功させる秘訣」など、さまざまな話題と質問があったようです。
予定時間を過ぎても話題はつきず、大盛況とともに今回の交流会イベントは幕を閉じ、ご参加いただいた方々より「次回の開催も楽しみにしています」との声も聞かれました。
第一部で講演いただいた、函館高専の小林淳哉副校長からは、「『高専教員×企業交流会』での繋がりをきっかけに、各高専にコンタクトいただき、求人だけではなく、産学連携により一緒に学生を育てるという取り組みもぜひおこなっていただけることを、多くの高専は期待しています」とメッセージをいただきました。
企業の方と高専教員の方をつなぐイベントは、今後とも開催予定。次回は、2023年3月開催を予定しています。
「高専教員×企業交流会」
日時:2022年3月28日(月)13:00~16:30
会場:東京流通センター第二展示場Fホール(東京都大田区平和島6-1-1)
参加者:全国の高等専門学校 教員、企業採用担当者・経営者
主催:月刊高専(運営:メディア総研株式会社)
連絡先:kosen@mda.ne.jp
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