1943年に当時の鉄道省※の要請を受けて誕生した東鉄工業株式会社。現在はプライム上場企業として鉄道関連工事シェアNo.1の実績のみならず、建設業界においてもトップクラスの営業利益率を誇る同社は、線路メンテナンスや駅舎、ホームの新築・改修工事をはじめ幅広く工事を行っています。
※かつて日本に存在した、国営鉄道に関する業務を管轄していた中央官庁。現在の国土交通省やJRグループの前身にあたる。
そんな東鉄工業で、高専卒社員はどのような仕事をしているのでしょうか。建築部門の内山乃々さん(小山高専卒、入社1年目)と、線路部門の島津太一さん(長岡高専卒、入社5年目)にお話を伺い、就職先として東鉄工業を選んだ理由や、実際の業務内容、東鉄工業の良いところなどをお尋ねしました。
公共施設/インフラへの興味から東鉄工業へ。国内トップクラスの研修施設を有する同社の教育環境とは
―お二人が高専に進学されたきっかけを教えてください。
内山さん:中学生のときから公共施設の設計に携わりたいという思いがあり、いち早く建築について学ぼうと、小山高専の建築学科に進学しました。公共施設に興味があったのは、美術館や博物館、市役所など、見た目がスタイリッシュでありながら、さまざまな方にとって利用しやすいようにつくられていることに格好良さを感じていたからです。

島津さん:数学や理科が得意で、工業高校や高校の理数系コースも選択肢に入っていたのですが、高専の方がより実践的に学べることを知り、長岡高専の環境都市工学科への進学を決めました。土木系の学科に入学したのは、人々の生活の基盤となっている社会インフラに興味があり土木を選びました。

―高専での勉強や卒業研究について教えてください。
内山さん:設計、施工、修繕など建築全般を幅広く学ぶことができました。卒業研究では、地元である栃木県の鹿沼市で採掘される石材「深岩石」の利活用を調査し、その保存に生かすための研究を行っていました。
島津さん:卒業研究ではインフラの維持管理を簡単にするためのアプリ開発を行っていました。例えば、道路が陥没している写真を撮影し、アプリで位置や陥没状況などの情報を共有するといった、インフラ維持管理に特化したSNSのようなアプリです。この研究は、専攻科進学後も取り組んでいました。
―東鉄工業への入社を決めた理由を教えてください。
内山さん:公共施設への興味から、就職活動では市役所なども視野に入れていましたが、会社説明会で東鉄工業の話を聞いて駅関連工事に携わることが出来ることを知り、自分のやりたいことに一番近い会社だと思い、入社を希望しました。
また東鉄工業には2022年に稼働した、約4万㎡の敷地に実習線や大型保線機械などの各施設・宿泊設備を備えた「東鉄総合研修センター」があり、実習線を備えた研修施設としては、国内トップクラスの教育環境で学べる点も魅力的でした。


島津さん:研究室の専門分野の関係から、インフラ系の企業がまず就活の主軸にありました。また、出身である新潟に近い関東で働きたいという思いもありました。
そんななか、研究室の先生と話していたときに、東鉄工業が関東を中心として業務を行っていることを知りました。インフラ×関東勤務への想いがちょうどはまったのが東鉄工業でした。加えて、東鉄工業は鉄道省の要請で設立された会社であり、JR東日本のパートナー企業として、経営が安定している点も魅力的でした。
建築部門/線路部門での働き方
―入社1年目の内山さん。入社後の業務内容について教えてください。
内山さん:入社後に6カ月間の研修がありました。最初の1カ月間は全部門合同の研修で社会人としての基礎を学び、残りの5カ月は「研修センターでの教育プログラム」と「現場での実践」を繰り返し実施。学んだことをすぐに現場で活用することで、知識・技術をしっかり身につけることができた点は、東鉄工業の充実した環境だからこそだと感じています。
研修後の10月からは、工事所に本配属となりました。JR東日本が管理している物件の解体工事や新築工事を行う部門で、今は新築工事の施工管理を担当しています。

―入社5年目の島津さんは、4年半ほど経ちますが、これまでのキャリアを教えてください。
島津さん:最初に配属されたのが水戸支店の土浦出張所です。1年目は鉄道工事の基礎知識を学び、1年目の終わりから2年目にかけては、JR東日本の線路メンテナンス工事の実績報告や工事書類の作成などに取り組みました。その後2年目の途中からは、初めて担当工事を受け持ち、施工計画の立案から現場での施工管理まで、一貫して担当しました。
3年目になると、工事に加え線路検査の計画作成や予算管理も担当することになり、少しずつステップアップしていきました。4年目の4月には土浦出張所が受け持つすべての工事計画を担当することが出来るまでに成長することが出来ました。
同年11月には水戸出張所に異動となり、同出張所が担当する路線について学びながら、引き続き計画担当として業務をしています。
―仕事で感じる楽しさや、やりがいは何ですか。
内山さん:研修で初めて現場に入ったときは不安なことだらけでしたが、実際に働き始めると全然そんなことはなかったです。私が提案した図面をもとに職人さんが足場を組み立ててくださった際には、大変な仕事だけど提案して良かったと思いました。
島津さん:計画通りに物事がうまく進まない点に、大変ながらも楽しさを感じています。なぜ計画がうまくいかなかったのかを考えることで、様々な学びを得ることが出来ています。
高専生のときの研究などでも、挑戦する→問題が発生する→それを解決する→その解決手段を生かして次の挑戦をする、といったサイクルを回すことが好きでした。失敗の原因を探求し、二度と同じ失敗を起こさない仕組みをつくることを学生時代に経験できたのは、社会人になった今でも役に立っています。
また、夜間にレール交換等の工事を指揮し、朝になって始発の列車がその線路を通ったときに「自分の仕事が鉄道を利用するすべての人々の日常を作っているんだ」と、本当にやりがいを感じます。

―高専での学びや経験は、現在の仕事でどのように生きていますか。
島津さん:先輩・後輩・友達・先生に囲まれた7年間の高専生活で培ったコミュニケーション能力が、現在の仕事で生きています。
10月まで在籍していた土浦出張所は10年目までの社員と20年目以降の社員がそれぞれ10人ほどいる環境でした。そのため、年齢の近い社員同士で一致団結できましたし、出張所全体が和気あいあいとした雰囲気であり、土浦出張所から異動したくないと思えるほどでした。
内山さん:私が働いている工事所は、社員が3人で線路部門の事業所と比べると人数は少なくなるのですが、少ないがゆえに信頼関係が生まれやすく、そこが建築部門ならではの良さだと思います。
島津さん:実務的な面ですと、測量士補の資格を高専生時代に取得していたことで、早い段階で測量の業務に携わることができました。また、施工管理の業務に必要な一級土木施工管理技士の資格を取得しましたが、高専で学んでいた専門的な内容も含まれていたので、そこまで苦労しなかったです。
充実した福利厚生と、鉄道関連事業だからこその長期休暇
―東鉄工業の良いところを教えてください。
内山さん:正直なところ、給料はかなり高い方だと思います。福利厚生の面では、会社から家賃補助※が支給されるのが1番ありがたかったです。実家を出て一人暮らしを始める際の不安は大きかったですが、1年目の給料でも生活にはまったく困りませんでした。1年目の冬から賞与も支給されるので今から楽しみです。また賞与が年に3回支給される点も、働く意欲に繋がりますね。
※持ち家を所持しない新入社員が都内で家を借りる場合、上限7万円まで補助(自己負担1万円)
島津さん:年間休日が125日(2025年度)と多いほか、作業規制によってまとまった休みが取れることは、JR東日本のパートナー企業であるがゆえの強みだと思います。年末年始やお盆休み、ゴールデンウィークなどの期間は輸送繁忙期ですので、工事が規制されます。そのタイミングで茨城から長岡に帰省できるのは、ありがたいですね。
給料に関しては大変満足しています。大手ゼネコンを含めても営業利益率がトップクラスであり、その分従業員への還元もしっかり考えてくれる会社だと感じます。
―東鉄工業での今後の目標を教えてください。
内山さん:最終的には積算※に携わりたいと思っています。積算に特化した企業もあるのですが、私は建築物がどのような工程を経て建てられているのかを現場で十分に理解した上で、適切に積算できるようになりたいと思っています。それまでには、一級建築施工管理技士の資格を取得し、一つの工事を計画書の作成から竣工まで、一連の施工管理の仕事を任されるようになることを直近の目標に据えて頑張っていきたいです。
※設計図や仕様書などから、材料の種類や数量を計算し、工事費や材料費をあらかじめ算出する業務
島津さん:今は、社内の先輩方や協力会社のみなさまから「すごい」と思われる人になるのが目標です。
私には尊敬している先輩社員がいて、その先輩は周囲から「すごい」と言われており、みんな一目置いています。豊富な経験や高い技術力があり、しっかり仕事ができるのは大前提として、多くの関係者と円滑にコミュニケーションをとることができ、社員だけでなく、発注者や協力会社からも信頼される先輩みたいな人を目指して頑張ります。
内山さん:私も同じ工事所にいる先輩を目標にしています。施工管理において「先を見通す力」は重要で、その先輩は次のこと、その次のこと、そのまた次のことを考えながら管理しています。的確な指示や様々な課題に対する判断力など、行動や頭の回転も早く、私も先輩のように早くなりたいと思っています。
―就職を考えている高専生にメッセージをお願いします。
内山さん:とにかく今の学生生活を存分に楽しんでほしいですし、高専生のときにしか挑戦できないことに取り組んでほしいです。
私は高専生時代に資格の勉強はもっと挑戦できたはずだったなと思っています。授業の内容が建築士や建築施工管理技士に関わるものばかりだったのに、なんであのときにもっと勉強しなかったんだろうと思うことは多いです。様々なことにチャレンジするのも大切ですし、みなさんはそうならないように、資格勉強にも取り組んでもらい、今の学生時代を謳歌していただきたいと思います。
島津さん:社会人になると自由時間は減りますので、高専生のときに自分がやりたいことに打ち込むことをおススメします。高専生のときにしかできないことに取り組み、しっかり勉強もすれば、今後の糧になります。私の高専の同級生を見ても、学生時代にやりたいことにチャレンジしていた人は、社会に出たらみんな成功しています。私も高専卒業生でありながら、「高専で学んだ人はやっぱりすごいな」と思いました。
社会からの高専生に対する評価は高いので、自分がやりたいことが見つかれば就職活動で苦労することはそこまでないと私は思います。インフラや建設業に興味がありましたら、自分の目の前に広がるさまざまな選択肢の中から、線路・土木・建築のそれぞれの部門で高い専門技術を磨くことができ、社会に貢献しながら「やりがいのある人に誇れる仕事」ができる、東鉄工業を選びませんか。
◇
○東鉄工業 採用サイト
https://www.totetsu.co.jp/recruit/
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