
全国から高専教員および企業採用担当者の方にお集まりいただき、意見交換を行うイベント「高専教員×企業交流会」が、2023年3月29日(水)に東京交通会館で開催されました。昨年同様、「基調講演」「意見交換会」「交流会」の三部構成で行われたその模様を、本記事ではレポートします。
第一部「基調講演」
会場に集まった人数は約120名。第一部は、鹿児島高専の氷室昭三校長(当時)による「高専における技術者教育」をテーマとした基調講演がスタートし、これまでの/これから目指すべき技術者教育に関して、プレゼンテーションが行われました。

キーワードとなったのは、「ウェルビーイング(well-being)」という言葉。ウェルビーイングとは、心身の健康が良好で、社会的にも満たされている状態を意味します。SDGsを達成するための基準の1つでもあり、注目されている概念です。
これからは、学生一人ひとりが自らの意思で将来のキャリアを描き、ありたい姿になるために挑戦・成長できる環境と機会を創出しなければならず、そのために「ウェルビーイング(well-being)を志向する技術者教育」が、高専においても大事になってくるとのことでした。
鹿児島高専では、学生一人ひとりが幸せになるために考え、実行する「ポジティブエデュケーション(Positive education)」を導入しているそうです。学生自身がウェルビーイングを実現・向上するとともに、社会のウェルビーイングの実現・向上に貢献するシステムづくりを目指していくとおっしゃっていました。
第二部「意見交換会」

「各高専の取り組みの紹介と企業への要望」「高専卒で活躍する人材とは?/双方が高専生採用に期待すること」という2つのテーマを設け、高専教員・企業担当者の混合グループで意見交換会を実施しました。
教員の方からは、各高専でどのような研究(取り組み)が行われているかをご紹介。企業の方からは、自社の高専卒者がどのように活躍しているかといったお話が展開されていました。
対面で行われるインターンシップの良さや、オンライン化の定着における就職活動のモチベーション維持など、高専生の就職活動に関してのリアルな情報共有が行われていました。

第三部 「高専教員と企業の交流会」
「交流会」は、高専毎にブースを設け、企業担当者が気になる高専ブースに訪問するというものです。

決まったテーマはないため、双方が聞きたいことを相談・ディスカッションすることになる交流会。対面で話ができることはもちろん、一度に多くの高専教員や企業採用担当者に会えることから、「次回の開催も楽しみにしています」との声もいただき、大盛況となりました。

「月刊高専」で取材を行った先生方に、運営スタッフから取材についても感想を聞いてみたところ「ついつい話しすぎてしまうが面白かった。取材を受けた繋がりから、こういったイベントにも出席ができてうれしいです」とのお声もいただきました。
○イベント情報
「高専教員×企業交流会」
日時:2023年3月29日(水)13:00~16:30
会場:東京交通会館12F/ダイヤモンドホール(東京都千代田区有楽町2-10-1)
参加者:全国の高専教員、企業採用担当者・経営者
主催:月刊高専(運営:メディア総研株式会社)
連絡先:kosen@mda.ne.jp
アクセス数ランキング
- 「高専生はかっこいい!尊敬する!」学生に厳しかった安里先生の、考えが変わったきっかけとは
- 新居浜工業高等専門学校 機械工学科 教授
安里 光裕 氏
- 技術職員から教員へ——“裏方”から“触媒”への歩みで見つけた、高専教育のかたち
- 釧路工業高等専門学校 創造工学科 一般教育部門 准教授
佐藤 潤 氏
- 現場の知識を学生に還元。「No Challenge, No Life」を貫く、エンジニア兼講師からのメッセージ
- 弓削商船高等専門学校 情報工学科 非常勤講師
株式会社MIXI
瀬尾 敦生 氏
- 「触媒」で環境をきれいに! 高専の先輩として「自分の経験をたくさん話して」学生に寄り添いたい
- 八戸工業高等専門学校 産業システム工学科 マテリアル・バイオ工学コース 助教
小船 茉理奈 氏
- 10年間の研究が地球環境大賞を受賞! 鉄鋼スラグを用いた画期的な藻場創出プロジェクトに迫る
- 宇部工業高等専門学校 物質工学科 教授
杉本 憲司 氏