災害時孤立地域の自主避難ビニールハウスの謎を解き明かす。そしてその先へ(福井高専)

ー解決したい地域の課題を教えてください。
令和6年能登半島地震では、土砂崩れなどにより道路が寸断され、孤立解消までの期間ビニールハウスを自主避難先として用いたという事例があり、石川県と同様な地形である隣県の福井県においても災害時に自主避難先としてビニールハウスが選択される可能性がある。しかし、福井県では平成30年の大雪により1,075棟が倒壊し、令和3年には大雪と強風によって425棟が倒壊している。多雪地域である福井県において安心して使用できるビニールハウスを開発する必要がある。
ーその課題を解決する、アイデアについて教えてください。
ビニールハウスの現状を把握し、雪や風で倒壊しないビニールハウスを開発する。現状を把握するため、複数のビニールハウス内部を3次元点群測量を用いて形状を求め、支持する土の強さをポータブルコーン貫入試験より調べる。その後、得られたデータを基に有限要素法を用いたパラメトリック解析より脆弱な箇所を明らかにする。実物大のビニールハウスをつくり、多雪地域特有の豪雪を模した荷重を載荷させ、耐えられるビニールハウスを開発する。

ー現在の進捗状況について教えてください。
10/9(木):メンターとのミーティングを行い、ビニールハウスの現状について教えて頂いた。また、積雪による倒壊は北陸特有なものかもしれないとのアドバイスをもらった。
10/2(木):大学教員とビニールハウスの積載荷重について意見交換し、「再現期間に着目してみては」という意見を頂いた。今後、福井県農業試験場との打ち合わせを行う予定。
実物大のビニールハウスをつくるため、農・園芸施設設計・施工を手掛ける企業と打ち合わせを行っており、建設地が確定次第、施工し実大実験を行う。
ー2026年1月24日(土)の最終審査会に向けて、今後の計画を教えてください。
ステークホルダーやメンターなど意見をもとに、積雪分布や積雪量等について整理する。その後、有限要素法を用いたパラメトリック解析を用いて脆弱な箇所を明らかにする。検証として、実物大のビニールハウスを企業方とともに建設する。豪雪を模した荷重を載荷した際の変形量から脆弱な箇所を明らかにし、有限要素法によって得られた結果と同様であることを確認する。