セーフティアド(沖縄高専)

ー解決したい地域の課題を教えてください。
災害発生時、基地局の崩壊により4G/5G網の公衆通信網が広範囲で途絶する。東日本大震災や能登半島地震でも、通信が長期間不通となり、自治体は被災者の状況把握が大幅に遅れ、適切な救援活動ができなかった。これにより被災者は安否確認や情報交換が困難になり、孤立してしまう。将来危惧される南海トラフ大地震に向けても、災害時でも途絶しない情報通信ネットワークの構築が急務である。
ーその課題を解決する、アイデアについて教えてください。
4G/5G網が途絶した際に、柔軟かつ迅速に情報通信ネットワークを構築できるスマートフォン(名称:アドフォン)を開発する。アドフォンは、普段は通常のスマートフォンとして利用でき、災害時にはLPWA通信を用いてアドホックネットワークを即座に構築する。これにより、被災者同士での安否確認や情報交換が可能になる。また、アドフォンを通じて被災地の状況を災害対策本部に集約・配信することで、迅速な被災者支援を実現する。

▲開発中のアドフォンについて
ー現在の進捗状況について教えてください。
- Loraモジュール+M5Stackモジュールを用いた試作機で、スマートフォンからメッセージを送受信できることを確認済み。現在は、実用的な使用を見据えた小型モジュールの開発を進めている。
- 建物の崩壊度や避難者数を画像から分析するPC上のAIモデルを開発完了した。さらに、建物の崩壊度や避難者数を地図上に表示(マップ化)するプログラムを開発完了した。現在は、スマートフォン内で画像取得とAI実行とマップ化を完結できるようモバイル向けAIモデルを開発中である。
- ユーザーがオフライン状態かどうかを判定し、オフラインであれば自動的にLPWA通信へ切り替える、バックエンドサーバーとデータベースの開発を行っている。
- 緊急時でも直感的に使えるUIデザイン案を作成完了した。
ー2026年1月24日(土)の最終審査会に向けて、今後の計画を教えてください。
<2025年10月25日まで>
高専祭での展示に向けたデモ機を完成させる。デモ機には、マップシステムやチャット機能を実装する。
<2025年11月>
高専祭で体験型のデモ機の来場者からのフィードバックを収集する。そのフィードバックを基に、より実用的なプロトタイプの開発を開始する。
名護市役所への協力依頼を行い、実証実験に向けた協議を進める。
<2025年12月>
全機能の実装したプロトタイプを完成させる。
ネオパークオキナワや名護小学校と連携し、防災教育や避難訓練の準備を開始する。
<2026年1月(最終審査会まで)>
ネオパークオキナワや名護小学校と連携し、防災教育や避難訓練を行う。
全ての開発・検証結果をまとめ、1月24日の最終審査会に向けた発表資料の作成とプレゼンテーションの準備を完了させる。