AI音波消火器を搭載したドローンSOFIA(沖縄高専)

AI音波消火器を搭載したドローンSOFIA
 

解決したい地域の課題を教えてください。

地球温暖化に伴い、国内外で山林火災が増加している。2025年には岡山県や岩手県の山間部で大規模火災が発生し、山間部では空中のヘリコプターと地上の消火隊員が連携して消火活動が行われた。しかし、完全鎮火までに40日と長い期間を要した上に、山の斜面で消火活動を行う消防隊員の危険性が指摘され、水源までのヘリコプターの往復移動による時間の遅れが課題としてあげられている。

私達の地元沖縄には世界自然遺産であるやんばるの森が存在しており、この地域にも同様な課題がある。そこで、ドローンによる無人消火と水を用いない消火技術の組み合わせが有効であると考えた。

ーその課題を解決する、アイデアについて教えてください。

音波消火器とAIカメラを搭載した次世代の消防ドローン(名称:SOFIA)を提案する。火災検出のAIカメラは、火の大小の検出と火元までの距離の推定を行い、これらの結果からドローンは火元までの自動飛行を行える。音波消火器は、水を必要としない消火方法として、指向性音波を用いて火元から酸素を絶つ消火を行うことで、水がなくなることによる消火活動の停止問題を無くすことができる。二つの技術を搭載したドローンが複数台で連携消火を行うことで、無人かつ迅速な消火が可能となる。

ー現在の進捗状況について教えてください。

①:音波消火器は、マイコンから発生させた信号をアンプで増幅させ、低周波スピーカーから出力する電子回路を作成した。ろうそくを用いた実験を行い、周波数及び適切なホーン形状を試行錯誤している。

②:AIは、火災検出モデルと距離推定モデルの開発を行っており、レンズの曇りや霧を考慮しない場合には85%の精度を実現している。

③:ドローンは、シミュレーションソフト上で消火器を搭載したときのペイロード制御技術を開発している。

SOFIA開発の様子
▲SOFIA開発の様子

ー2026年1月24日(土)の最終審査会に向けて、今後の計画を教えてください。

10~12月は消火器及びAIカメラの完成度を高め、最終審査会までに消火器とAIを連携したスマート消火器のプロトタイプを製作する。ドローンに関しては実機の実装目標は3月であるため、最終審査会までにはシミュレーション上で制御技術の実装を目指す。

また、12月には消火器のプロトタイプを持って、県内のドローン関連の企業にヒアリングを行い搭載に関するフィードバックを得る。同時に大船渡・名護消防本部、沖縄県防災危機管理課にもフィードバックを頂き、林野において実用的なシステムの実装を目指す。