WAS(Water Break Damage Assessment System) 断水被害調査システム(豊田高専)

ー解決したい地域の課題を教えてください。
南海トラフ地震時、豊田市の建物被害は3,933棟と予想されている。救助資源が不足する中、豊田市では在宅可能性の高い家屋を優先的に救助するため、在宅家屋をスクリーニングする体制構築が必要である。
また、広域災害時の応急給水の能力について、豊田市内に保有する給水車と派遣可能な規模の自治体には限りがあることから、断水被害のスクリーニング体制を構築する必要がある。
ーその課題を解決する、アイデアについて教えてください。
災害時に水道やガス・電気の使用履歴を豊田市役所が把握するシステムを構築することで、在宅家屋をスクリーニングすることが可能となる。また、水道の使用量をAIに推論させることにより、断水被害が生じているエリアを特定し、素早く給水車を派遣することが可能となる。
私たちは、水道やガス・電気の使用量を読み取り、一元的に使用量を把握することができるシステムを開発した。また、各使用量については統計的に推論を行い、異常値が検出された場合は、各管理者へ通知するシステムとしている。
ー現在の進捗状況について教えてください。
システムは概ね完成しており、現在は実証実験に向けて豊田市役所との協定締結を進めている。また、実験に参加する家庭を訪問し、承諾書の取得を行っている。
通信環境に課題があったため、地元電力会社と協定を締結し、同社のスマートメーター通信網を活用できる体制を整えた。

さらに、浄水処理場の見学を通じて、水の製造から家庭への供給、災害時の給水活動に至るまでの理解を深めることができた。
ー2026年1月24日(土)の最終審査会に向けて、今後の計画を教えてください。
最終審査会に向けてAIの学習を進め、推論精度の向上を図る。また、コスト削減のために配管網の解析を行い、水道・ガス・電気の使用量を検知する機器を最適化することで、従来のスマートメーター設置時の1/1000のコストを目指す。
さらに、国土交通省中部整備局の防災担当職員へのヒアリングを実施し、災害時の運用を想定したシステムのブラッシュアップを行う。災害現場に精通したTEC-FORCE経験者からの助言も得ることで、より実用的なシステム構築を目指す。