「ココロボ×電波でつながる函館プロジェクト」~函館高専×FMいるかから始まる防災ネットワーク~(函館高専)

ー解決したい地域の課題を教えてください。
函館市は大規模地震の発生確率が高く、高齢化が進む地域です。2018年の北海道胆振東部地震では、情報伝達の困難さや避難所スタッフの負担増加など、災害時の課題が顕在化しました。
特に深刻なのは、避難勧告が発令されても約30%の高齢者が避難しないという実態です。背景には、高齢者への効果的な情報伝達手段の不足や、避難先での心理的負担への懸念があります。災害弱者である高齢者の命を守るため、この課題解決が急務です。
ーその課題を解決する、アイデアについて教えてください。
私たちは「愛着型避難誘導ロボット」と「地域ラジオとの連携」という二つのアプローチで課題解決を目指します。aiboのようなシステムを搭載したロボットが日常的に高齢者と関係を築くことで、「ともに生きる」という意識を育み、災害時には心の拠り所として避難行動を促します。
また、高齢者のラジオ聴取率の高さに着目し、函館のコミュニティFM「FMいるか」と連携。ロボットを通じてラジオから正確な災害情報を届けることで、情報伝達の課題にも対応します。
ー現在の進捗状況について教えてください。
愛着形成を重視したデザイン開発のため、高齢者の方々へのアンケート調査を準備中です。犬種、見た目、サイズなどについてご意見を伺う予定です。また、函館独自の柄「函館タータン」をロボットのデザインに取り入れるべく、使用許諾の確認を進めています。
さらに、ロボットの日常会話機能や災害時のラジオ放送については「FMいるか」様と協議中です。技術面では、本校機械科の先生方にご協力いただきながら、搭載機能の選定を行っています。
ー2026年1月24日(土)の最終審査会に向けて、今後の計画を教えてください。
今後は、予算や技術的制約を考慮しながら、搭載機能の最終決定と実装を進めます。最終審査会では、既存製品を改良し、私たちが目指す機能やデザインコンセプトを反映させた試作機を発表する予定です。開発過程では高齢者の方々からのフィードバックを積極的に取り入れ、改良を重ねていきます。
「親しみやすく、関わりやすい」ロボットの実現を目指し、函館の高齢者に寄り添う防災システムとして完成させたいと考えています。